先輩と俺の1時間目


「全体、進め!」


いちにっ、いちにっ、と体育委員の掛け声に合わせて走り回るのは体育館。

体育自体は嫌いやないけど、準備体操とか集団行動やらランニングはなんちゅうか、だるい。
ま、そんなん言うたってしゃーないことくらい分かっとんねんけど。





「ほないくでー」

適当な合図で始まるバレーの試合。

間延びした声色とは裏腹に、男バレのこいつが放ったボールは体育館の床に猛烈なスピードで体当たりをしていく。
ドーンとか、ズドーンって感じ。

誰がジャンピングサーブしていいって言うたねん。
誰も取れへんわ、そんなサーブ。



相手コートから一方的に野次が飛ぶ。そりゃそうやろ。
俺も適当に文句を付けておく。


「すまんすまん。じゃ、さっきのはノーカンでもう一回な。てへ」


てへ、についてまた野次が飛ぶ。










「そうや財前、英語の予習やってきた?」

男バレのこいつは、さっきの試合中ずっと野次を飛ばされていた。
「愛ゆえやんな、みんな俺のこと好きなんやな」ってオイ。勘違いすんな。



「見せるわけないやろ」



ちなみにさっきの試合は俺らの勝ち。
男バレがなんやねんっちゅう話や。


「ちょ、財前くん優しくない!ていうか質問に対しての答えおかしくない?あとでアメちゃんあげるから!」

「誰がアメで釣られるか」

「おい!アメ言うなや!アメちゃんって言えや!もしくはアメさん!」

「突っ込みどころはそこかい」



そういえば制服のポケットに、昨日の帰りに名前先輩からもろたいちごミルクのアメが入っとったな、って思いだした。


…名前先輩、1時間目は何の授業やろ。












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