先輩と俺の朝 午前6時。 部屋に鳴り響くのは携帯電話のアラーム。 いま流行りの海外アーティストのサビが流れる。 学校、行きたいけど行きたない。起きたない。まだ寝てたい。 そんなこと考えたって仕方ないことは分かっている。 その間もアラームは鳴り響いていて、30秒ほどのメロディーは2巡目を迎えていた。 ……何分鳴る設定にしてたやろか。てかどんだけしつこいねん、アラーム。 部屋に鳴り響くアラームをようやく止め、しばしの何も考えたくないタイムを過ごしてみる。 すると、音が消えたと思っていた携帯電話が、もう一度メロディーを奏で出す。 しかしそれは先程までのものとは違う音。 あの人だけに設定された音。 ケイタイを開けば1通のメール。 “財前、ちゃんと起きた?” 毎朝同じ文章で送られてくる先輩からのメール。 たったこれだけの文字なのに、今日もがんばろうかなんて柄にもないことを思ったりする。 “とっくの前から起きてます” ちょっと嘘をついてみて、ピアスを付けようとベッドをあとにした。 |