あと15分か。

そう、この大嫌いな数学の授業が終わるまでの時間。15分。

50分授業で35分もこのうすら禿げた教師の後頭部を見続けたことをほめてもらいたい。
授業の内容はほとんど聞いてなかったけどね。

とうの昔から睡魔にやられかけている。

でもそこは(自称)優等生名字。居眠りなんてしませんよ。できませんよ。

ということで今から15分は好きなアーティストの曲を脳内再生。

何曲分再生できましょうかね。




で、ぼーっとしていた。

脳内再生とはいえ、周りの音がまったく耳に入ってなかった。

「日付的に今日は、はい、名字この問題解いて」

ちょっと先生それはないでしょうよ。

いま曲のいいところだよ。脳内再生だけど。

というかそんな制度いつも先生しないじゃないですか。

いつもだったら寝てる生徒に嫌味のように当てるのに!

周りを見れば頭を机に突っ伏したクラスメイトたち。

おいおい先生よ、いつものように居眠りしている生徒に当ててくださいよ。

なぜ真面目に授業受けてる(ように見せかけてる)私を当てちゃうかな。

まあそこは真面目生徒名字。

一言返事をしてから黒板へ向かう。

おっと、ラッキー。結構簡単な問題でよかった。

「はい、せいかーい」

このハゲ真面目に授業する気ないじゃん。

いつものことだけど。

おとなしく席に帰る。

まだ終わるまで8分。

「なあ、名字」

小声で話しかけてきたのは隣の席の桃城。

「ん?なに?さっきまで寝てたのに」

「やっぱり数学は寝るべきもんだよな」

「ばか、数学だけじゃないじゃん、寝てんの」

「あれ?ばれてた?」


阿呆の相手をしてても意味ないので優等生名字は前を向くことにした。うん、それがいい。


「って、おい名字、相手してくれよ。目、覚めちまった」

「知らないよ桃城。私はいま優等生名字なんだよ」

「は?ばかいつもお前も寝てんじゃん」

なんてことだ桃城よ。ばれちまっていたのか。

「ばか、てめぇだっていつも俺と一緒に注意されてんじゃねえかよ」


そうでしたね。はい。


ということで真面目名字改め真面目でない名字です。

それから桃城と昨日のテレビがどうだった、とか
最近のアイドルの話とか
うんぬん。



あ、チャイム鳴った。

―きりーつ、れい、ありがとうございましたー

あいさつと共にバラける生徒たち。

「最後の10分楽しかったな」

私の頭に手を置いて言う。
桃城は友達の輪にとけていった。


「次の英語の時間もよろしくな」

なんて言う桃城の笑顔がまぶしかったから。


次の授業が楽しみになってしまったじゃないか。



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