「名前、早く髪乾かさないとカゼひいちゃうよ」
「うん、わかってる。わかってるんだけどね」
いつ眠ってしまうかわからないような、フワフワとした返事をしたのは、お風呂上がりにアイスを一本食べ終わった後の名前である。
「だから言ったでしょ、髪乾かしてからアイス食べなって」
「お風呂上がりすぐに食べるのがいいんだよ」
いくら温かいとはいえ、濡れ髪を放置しておくのはよろしくない。
それに、そのまま眠って寝ぐせで朝困るのは名前の方である。
「だってね、サエさん、一番あついときに食べたほうがね、おいしいでしょ」
一人でアイスについて話し出した。
これは結構眠たいみたいだ。
「もう名前ったらしょうがないな、ドライヤー持ってきてあげるからちゃんと起きててよ」
「・・・うん。」
大丈夫かな。
名前の近くにあるコンセントにコードを差し込み、名前の髪を乾かしていく。
ドライヤーの風にのって、シャンプーの香りが鼻をくすぐる。
俺と同じシャンプーを使っているはずなのに、どうしてこんなに違うのか。
ブワーっと当たる少し熱い風が心地いいのか、俺に撫でられているのが心地いいのか、名前は気持ちよさそうに目をつむっている。
こんなものかとドライヤーのスイッチを切る。
終わり?と、名前に問われれば、そうだよと頭を撫でてあげる。
「ん、サエさんありがと」
「はい、もう眠っていいからね」
「うん、サエさんになでてもらうのっていいね。好きだなあ」
そんなことをかわいく言ってくれるなら、今日は君が眠るまで、抱きしめてあげようじゃないか。