メールを送ってそのまま、そっとてのひらでそれを包み込む。 いま、私のてのひらに包まれているケイタイは、メールを着信すれば流行りの曲が最大音量で流れ、バイブレーションが響くように設定されている。 少し前までは家の中でさえマナーモードだった。 …まさか私が、メールにすぐ気付くようにって、ずっとケイタイを握りしめておくなんてするとは思わなかった。 そういうのは、ラブソングの中の女の子だけだと思ってた。 震えだす手の中のケイタイ。 ドキドキしながらメールボックスを開けば、そこには友達のブログ更新通知。 「ばーかばーか更新通知のばーか。ついでにメール返してこない謙也のばーか」 スピードスターのクセに返信遅いんだよばーか。 謙也だけ別の着信音にすればいいかとも思ったけど、それはちょっとだけ恥ずかしい。 友達にそれが知れたら大変だ。茶化されるに決まってる。 そういえば、いつか何かで聞いた気がする。 「気になる男の子にはあえて時間を置いて返信するの。すぐに返しちゃダメ」って。 私の場合は謙也にそれをされてる気分。 確かに気になってしまう。 ん?私が謙也に恋してるパターンだからちょっと違うか。 そんなこと考えているうちにもう一度震えるケイタイ。 差出人には待ち望んだ人の名前で。 私は返信が遅かったことなんてどうでもよくなって、少しでも可愛く思われようと、必死に返事を考えるんだ。 その間7分 |