僕は時々、こんなことを思うんだ。


「ねえ名前、君はなんで僕を選んでくれたの?」


「ん?」


「なんで亮じゃなくて僕だったの?ってこと」



今日は名前の家でゆったりのんびり。
別に何をするわけじゃないんだけど、2人の空間は心地いい。



名前はテレビに向いてた顔をこちらに向ける。


「いきなりどした?って思ったでしょ」


「うん、思った」


「でもさ、僕の中ではいきなりじゃなかったんだけど」


「前から思ってたの?」


「うん。そりゃあ考えもするよ。だって僕たち双子でさ、最近は髪の長さとか違うけど、外見なんてほとんど同じじゃないか」



他にも、僕たちは考え方だって似ている方だと思うし、発言がかぶってびっくりするときもある。テストの点が一緒なんてこともあったし、親でさえ僕たちを間違えるときがある。



ああ、勝手に不安になってきた。







名前の方を見ると、何か言いたげである。





「だったらさ、」


しゃべった。


「だったら?」


「だったらね、淳はなんで私を選んでくれたの?他にも女の子はたくさんいるよ」


「そんなの名前がよかったからだよ」


はっきり言いすぎたかな?
ちょっとだけ名前の頬に赤みがさす。


それでも名前は話を続ける。

「あ、うん、そうでしょ?
でね、今の淳の質問はさ、淳と柳沢どっちがいい?とか、淳とサエさんどっちがいい?とか、そんなのと一緒だよ」


「そうかな?」


「そうだよ。だって、探したらすっごく私に似てる子だっているかもしれない。そんな中で淳は私を選んでくれたんでしょ?」


言い切った名前は、自分上手いこと言った、みたいな顔をしている。





でもさ、そう、だよね。
どれだけ名前に似ている他の女子がいたとしても、僕は名前を選ぶだろうね。

だってそれは、名前に似ているだけであって名前ではないんだから。



「そっか、じゃあ今僕が考えてることと同じことを名前は思ってくれてるってことだね。納得」


「え、待ってよ。淳が何考えてるかなんて分かんない。ちゃんと説明してよ」


「クスクス。名前ったら恥ずかしいこと考えてくれてるんだね」




あ、僕も一緒か。恥ずかしいやつらめ。









人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -