※微妙に病んでる?注意。 「名前、俺は君だけでいいんだ」 ときどき精市はなんだか怖いことを言うの。 “君だけでいい”なんて。 私には、大好きな家族もいるし、大切な友達もいるわ。 確かに、精市のことは大好きよ。 でも、大切な人がたくさんいるのは当たり前のことでしょ? もちろん、精市にだって素敵なお父さんとお母さん、 かわいい妹ちゃんに部員思いの大切なテニス部メンバーだっている。 なのに精市は “君だけでいい”って。 私にだってたくさんの大切な人がいるのにな。 精市と私だけの世界を考えたら、 ああ、怖い怖い。怖いわ。 だって、2人だけの世界なんてさみしいじゃない。 きっとそれは、精市だって分かってる。 でも精市はね、私をぎゅっと抱きしめながら、私が安心するような優しい笑顔で言うの。 そして私の名前をたくさん呼んでくれるの。 まるでこの世界に私と精市しかいないと錯覚させられるの。 それでも私はね、その時間が嫌いじゃないわ。 だから私もね、精市にこう言うのよ。 「私も、精市以外、何もいらない。精市だけでいい」 あら、私たちって似た者同士なのかもね。 |