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「風紀にストーカー調査を頼んだんでしょ?身辺警護も、もれなく付いてくるわね…。峰くん、即刻その願いは取り下げるべきだわっ!鬼島くんたちだって学園の事で忙しいのよ?そんな個人の勘違いに付き合わせるのはいい迷惑よ。」

「…やっぱり、糸島くん。鬼島くんの事が好きなんだ。」

「はっ!?それはお前だろがっ!?」


チワワさん、口調が素に戻ってますよ。


「?僕と鬼島くんは友達だよ?糸島くんこそ、鬼島くんと凄く親密そうじゃないか…。」

「やめてちょーだいっ。吐き気がするわ。私はデブは好みじゃないの。」

「…そう、なんだ。」


何だかバカップルの会話みたいだ。…胸がさっきから痛いのは何でかな。


「…あ、のさ、糸島くん。噂で、僕の親衛隊があるらしいんだけど。…糸島くんが親衛隊長って本当?」


親衛隊って、イケメンや可愛い子たちのファンクラブで、本人たちを崇拝しているあの親衛隊?まさか、峰くんにも親衛隊があるなんて。猛獣チワワにもあるのかな?でも、猛獣チワワが峰くんの親衛隊長って一体…


「…何ソレ、笑えない冗談ね。峰くん、私を怒らせたいの?誰に聞いたか知らないけど、そんな事ある訳ないでしょ?本当、普通の面な癖に自意識過剰ってアナタ相当性格悪いわよ。」

「…ご、ごめん。」

「私もう行くわ。サヨウナラ、自意識過剰の峰 真弓くん。」


…みね まゆみ?…峰、真弓…。


真弓っっ!!?


と、いうことは、この男が猛獣チワワが好きな真弓か…?この至って普通な男子が…。



…猛獣チワワは真弓が好きで、おそらく真弓の親衛隊長で、おそらくストーカー行為をしていて、おそらく二人は両想いだ。


俺は無意識にその場にへたり込んでしまった。峰くんも悲しげに突っ立ったまま。猛獣チワワだけは楽しげにその場を去って行く。



あぁ…胸が痛い。痛いよ…。さっきからじくじくと、傷を広げていっている。痛くて痛くてどうしようもない。以前、不良に絡まれて殴られた時よりも、蹴られた時よりも、


もっともっともっともっと、もっと痛い。



誰か、俺を助けてくれ。ずっと痛いんだ。痛いのが続くんだ。痛いの治してよ。





こんな時に猛獣チワワの俺を小馬鹿にして笑った、あの笑顔が脳裏を過ぎった。








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