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俺は前田さんを扉の前で待機させて、片山の背後から近づく。
片山の取り巻きが徐々に俺に気づく中、山田君を蹴る事に夢中な片山は俺には全く気づかない。
俺は持っていた昼に飲むはずだった牛乳を片山の頭から浴びせてやった。
「精液まみれ。誰に掘られたんだ?このクソ野郎が。」
「大場っ…テメーどーゆうつもりだこらっ」
怒りで戦慄く身体を抑えながら、片山は俺に振り向いた。
「変わんねーな。青木。」
「お前が俺を気安く呼ぶんじゃねぇっ!!」
「じゃあ、昔みたいに秀緒って呼んでやろーか?」
「…一度も呼んだ事ねぇくせに。馬鹿にしてんじゃねぇぞ、農。」
「てめーこそ、気安く俺の名を呼ぶんじゃねーよ。」
「ぶっ殺すっ!!」
片山は目を血走らせて俺に殴りかかって来た。
しかし、動きもノロいし、何せフニャパンだったので俺はほぼノーダメージに近かった。
「…お前ってこんなに弱かったんだ?昔は殺してやりたかった位憎んだのに…残念だ。」
片山の鳩尾に膝を入れただけで、片山はゴム床に崩れた。
「…かはっ…ぐっ…」
小学校の頃は、俺より背が高かった片山も、今では俺の方が高い。
力だって俺の方が強くなった。
顔だけなら、こいつはモテる部類に成長したな。
ただ、中身は何も変わっちゃいねぇ。最低最悪。
片山の短い前髪を掴んで、上を向かせる。
「青木…」
「青木じゃねぇ。」
「俺やっぱりお前の事、嫌いだわ。」
「…俺だってお前の事、大嫌いだ。このカマ野郎っ」
俺は片山の顔を殴ってやった。
「昔っからカマ野郎カマ野郎って…どっちがカマ野郎だぁ?」
片山の背後にいた舎弟に向かって話掛ける。
「こいつはな、…この片山って男は、自分が虐めてた相手を自分の舎弟にしていくんだ。昔からそうなんだよ。お前等が一番分かってるだろ?」
舎弟達に問いかけると、そわそわと互いに目を合わせていた。
「お前何を言う気だ…」
狼狽える片山を無視して、先を続けた。
「こいつは小学校の頃、俺に凄惨な虐めをしてきた。今の山田君なんて、比じゃねー位にな。そして、例の如く俺も片山に勧誘される日が来た訳だが、こいつは俺に何て言ったと思う?」
「やめろっ!!クソ野郎っ!!やめろっ!!」
舎弟も山田君も前田さんも皆が注目していた。
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