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ん?どうしたんだ…、高橋の奴?


俯いたまま、何やらモジモジと太もも擦り合わせている。




目を合わせようとしない様子を見て、ふと察知した。



もしかして…、いや多分。



「勃っちゃった?」


高橋の顔を覗くと、ガタイの良い身体がビクンッと揺れた。


「…お前、いつもは鈍感なのに、何でこういう時だけ…」


やっぱり…俺の予想は当たっていた。



「よし、今度は俺が抜いてやるよ。勿論、手でなっ!」


ガバッと高橋に覆い被さると、奴は俺の下でジタバタと暴れた。


「いいってっ!!やだっ!!」




「今更、遠慮なんてすんなよっ。」

「やだ、やだっ!!俺、声デカいから誰かに聞こえちゃうってっ!!」


依然、首を左右に激しく振り続ける恋人の顎をガシッと少し乱暴に押さえつけた。

「瀬戸っ…本当に、やなのっ…」


俺を下から見上げる目は潤んでいた。


その姿に欲情した俺は、何も言わずに彼の唇へキスをする。


ゆっくりと長く時間をかけると、俺の首にオズオズと腕が回って来た。


最後に高橋の少し厚めの下唇をチュッと吸って、離した。


「高橋、俺がずっと口塞いでてやるから心配すんな。」

「…酸欠で死ぬかもな。」


高橋は笑っていた。



最早、高橋の了承も必要ない。





俺らは始業の鐘なんてとっくに鳴った事にも気づかず、終業の鐘が鳴るまで、行為に没頭した。








◆◇◆









1時間目が終了と共に二人揃って教室に戻ると、既に修学旅行の班が決まっていた。


結局、俺と高橋は別々の班だった。


そして、俺と高橋という珍しい組み合わせを見つめるクラスメートの視線も突き刺さる。


この視線にも直に慣れるだろう。

これで少しは高橋と一緒に居られるようになるかもしれない。


「こらっ、瀬戸、高橋。お前ら今までどこ行ってたんだっ。」


うっ…牛山だっ。いつの間にか背後に立っていやがる。



「どこだっていーだろ。」


うぉっ、高橋…っ。

これ以上、牛山を刺激するののは危険だ。



「やめろ、高橋っ。すいません、俺が高橋を連れ出したんです。」


牛山は俺の発言に驚き、暫く言葉を失っていた。


俺の発言に驚いたのは牛山だけでは無かった。


「おぃっ!!何言ってんだよっ!!!二人で行ったんだろがっ!!」


高橋は俺の襟を掴んでグラグラと揺さぶった。


「…お前は黙ってればいいんだよっ。」


軽く睨んで言ったつもりなのに、高橋はピタりと手を止めた。

…また涙目になってるし。


言い方が悪かったかな…?


「瀬戸は放課後、教室に残れ。いいな?」

「…はい。」


牛山と二人きりかよ…、キツいなぁ。


ハァと見えない重圧に溜め息をつく。


「瀬戸…。」

「そんな顔すんな。大したこと無いって。終わったら、お前ん家行くから、今日は先帰っててくれよ。」


高橋は何やら言いたげな顔だったが、言葉を飲み込んだ。


「…分かった。」


俺は顔には出ないが、内心は物凄く緊張していた。







そして放課後、牛山とあんな事になるなんて。


俺はこの時、思ってもいなかった。








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