うちの隊服最高だな



「というわけで。今日からうちの隊に入るリンだ。よろしくなー」
「…よろしく」

……ちょい待って。
太刀川さんが突然連れてきた女の人は今日からうちの隊に入るらしい。え、誰?
俺より多分歳上?に見えるその女の人はにこりと愛想笑いの一つもせず真顔だ。なまじ美人だから圧が凄い。いや、もっかい言うけど誰?見たことないぞこんな人。

「えっと…俺この人初めて見たんすけど…」
「こいつはこの前の侵攻で俺が戦ったヤツ。強いぜ」
「え!?太刀川さんを1人で相手したって言ってた…え、女の子!?」

アフトクラトルからの侵攻で俺とは別行動をしていた太刀川さん。後から聞いてみれば終盤は殆ど1人の人型近界民を相手にしていたと言っていた。太刀川さんが侵攻時に相手をした人型近界民との戦闘ログは解禁されていなかったためその戦いぶりは太刀川さんから口頭で聞くしかなかったけれど太刀川さんを足止め出来るなんてすげー奴もいるもんだな、と聞いていたが俺が相手にしたデカい奴やわくわく動物野郎も相当の手練だったしアフトクラトルは強いやつが多いんだなとそこまで気にしてはいなかった。が…

「へえー!俺、出水公平。そちらさんの空飛ぶ大柄な奴やトリオン動物使いとちょっとやり合った射手でっす」
「! ランバネイン様と、ハイレイン様と…コーヘイはとても優秀なのね」
「え、あ……それほど、デモ…」

俺の目を真っ直ぐと見てこれまた真っ直ぐと褒められると照れてしまう。そしていきなりの名前呼び。え、距離近くない?目を泳がせていると太刀川さんにガバッと後ろから肩を組まれてしまう。

「はははっ、出水にリンは刺激が強かったか?」
「えー私は刺激強くないのぉ?」
「いや、違うんすよ柚宇さん!柚宇さんとはまた別枠と言いますか…!」

俺の慌てぶりを見て太刀川さんは揶揄ってくるし柚宇さんもそれに乗ってきてしまう。リン、と呼ばれた女の人はくすりともせずそんな俺たちをあまり感情のない表情で観察している。…不思議な人だな。俺、仲良く出来るかな…

「私は隊服を用意するためにちょっと前にリンちゃんのデータは貰ってたんだよぉ」
「そうなんですか?」
「ふふん。ベースは皆と同じにしたけどきっと私は良い仕事をしたよ!」

そう言って柚宇さんはリンにトリガーを渡す。今までアフトクラトルで使ってたものとは違うのか受け取ったトリガーを裏表にしたりして吟味している。ちょっと、可愛い。

「換装していいの?」
「いいよー!」
「あ、ボーダーのトリガーだけな。前のは使うなよ」
「了解。…トリガー起動」

そう言ってリンは俺達と同じ黒のロングコートへと姿を変える。女子が着るとまた雰囲気が変わってこれもいいな、なんて思っているとある違和感にすぐに気付き俺と太刀川さんはリンの姿を確認した後、柚宇さんへと思い切り振り返った。

「国近!!でかした!!」
「最高です柚宇さん!!」
「ふふん、もっと褒めたまえー!」

換装したリンは上半身は俺達と変わらないがなんと、下半身はショートパンツにブーツ姿。太ももが眩しいぜ…!同じ隊服とは思えないほどの可愛らしさにデザインを少しいじって提出してくれた柚宇さんに感謝しかない!

「? ケイと少し違う」
「いーんだよそれで!可愛いーじゃん」
「可愛い?私が?」
「可愛いだろ。な、出水?」
「うえ!?や、か、可愛いっすけど…」

俺達の反応にリンは謙遜することも照れることもなくただ不思議そうに首を傾げた。…え、もしかして自分のポテンシャルに気付いてないとか…!?

「可愛いよー!スタイルも良いし、アバターのいじり甲斐がありますなぁ!」

そう言って柚宇さんはリンに抱き付く。ちょっと驚いた反応をしながらもリンは柚宇さんを振り解くことはせずそのまま自己紹介をし始めた。そんな2人があまりにも眼福で手を前で合掌していると隣に立っていた太刀川さんはいつの間にかそんな2人の写真をスマホで撮っている。わかる。そしてその写真あとでください!

「お待たせしました!唯我尊、お呼びに預かり参上………誰ー!?!?」

少し遅れてやってきた唯我は一通りの自己紹介を済ませたあと「ボクの、僕の立場が更に…!」と泣き言を言っていたけれど安心しろ唯我。太刀川さんとやり合った相手にお前が敵うわけないから。


こうして俺達太刀川隊はフルメンバーで暫く行動することとなった。



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