いちばん | ナノ

友達とチームメイトと


今日も私はウソの通用しない友人と日常を過ごす。

「空閑くんハンバーガー好きなんでしょ?今期間限定のやつ美味しいけど食べた?」
「む!?げんていなんてあるのか」
「あるある。結構すぐ終わっちゃうから興味あるなら早めに食べておくと良いかも」
「ふーん。じゃあ今日の帰りにでも寄ろうかな。リンも一緒に来るか?」
「私は今日は夜防衛任務だからだめー」
「じゃあ明日は?」
「明日なら行ける!」

なら明日で決まりだな。と楽しそうに笑う空閑くんと約束をしてそれぞれの用事のためにこの日は解散となった。
空閑くんとの会話は大体こんな感じで全く気を使わないのが楽というかなんというか。別にいつも人に気を使っているわけではないけど、出来れば良い風に見られたいというプライドがあったためちょっと猫を被っていたのも事実である。まあそれは私が身につけた処世術なのだからこれからもそんなに変えるつもりはないけれど空閑くんには通用しないため素で接しているけれどこれが楽でしょうがない。


「最近空閑と仲良いじゃんリン」
「うん。空閑くんは良い子だよー喋りやすいし」
「なになに、もしかして恋とかしちゃってるわけ?」
「はい?ただの友達だよ」

出水くんの好奇心に答えられないのは申し訳ないけど空閑くんと私はそういうのではない。確かに私は空閑くんのことがちゃんと好きだしもっと喋りたいと思うけれどそれは恋とかじゃなくて。そうだなぁ、例えるなら。

「あと、弟みたいな感じかも」
「あー…まあ確かに空閑は歳下だし小さいからな」
「可愛いよね空閑くん」

特に食べてる時の姿が好きだ。結構何を食べても幸せそうに顔を綻ばず姿を見るとほっこりする。

「でもあいつB級戦の時とか結構目が据わってるぜ」
「あー、そういえばランク戦で戦った時も凄みあったかも」
「ま、悪い奴じゃないのは確かだけどな」

出水くんの言葉にうんうんと大きく頷く。空閑くんが悪い子じゃないのは皆知っているのだろう。空閑くんの周りにはいつも人が溢れていて彼の人望を物語っているのだから。

「そういえばリン、結局特殊工作兵でいくのか?」
「うん。今日も結構良い感じだったでしょ!」
「正直めっちゃ楽だったわ!おまえやっぱ頭柔らかいなー」
「俺もこれはちょっと楽しかったな」

私達に合流した太刀川さんが少し声を弾ませてそう言ってくれる。よし、良い手応えだ。やっぱりうちはチームメイトはレベルが高いから特殊工作兵として罠や補助を設置するだけで大分変わりそうなのが思惑通りで私も楽しくなってしまう。 

「リンー!ボクの足が、足があぁ!」
「あ…唯我くん罠のほう踏んじゃったのね」
『ちゃんとマークを見たまえー』

補助は触れた時に個々で展開出来るけれど罠は触れた瞬間に発動してしまうためチームメイトの視覚には柚宇ちゃんによってマークが写し出されているのだけど唯我くんは踏んでしまったらしい。もうちょっと改良が必要かもしれないな。

『でもリンちゃん、やっぱり射手の時よりトリオン結構使ってるねー』
「うーん。A級戦では保つと思うけど前みたいな侵攻の時は射手のほうが長く立ち回れるかも」
「おまえ本当に器用だな」
「太刀川さんもっと褒めていいんですよー!」

こんな風にチームメイトも私のやることを素直に褒めてくれるし力になれてる手応えも感じる。いちばんになってみたいなって気持ちはあったけどサポートに回って褒められるのも好きなのでこれはこれでありだろう。空閑くんに暴露したこともあってか前より「いちばん」であることへの執着も薄れた気がするし誰にも言えなかったことがより自分を追い詰めていたのかもしれない。

「あー腹減ったなぁ。そういえば期間限定のバーガーもう食った?おれまだなんだよなー」
「俺はきなこシェイクが飲みたいな」
「ふふん!そんな庶民の食べ物ボクは」
「唯我には聞いてねー」
「ひどぉい!」

期間限定のハンバーガー。ああそれなら。

「私は明日空閑くんと食べに行くんだー」

そうか。そういえばきなこシェイクも期間限定だったっけ。空閑くんはきなことか好きかな。太刀川さんも好きなんだよって勧めたら興味を持って食べそうな気がする。
そんなことを考えていると出水くん達三人が何だか生暖かい目で見てくる。なに?

「…やっぱり空閑とめっちゃ仲良くね?」
「いや、だから仲良いって」
『フラグがたってるー!』
「なんだなんだ。面白そうな話は隊長に報告しろよなー」
「リン!ボクより先にそういうことは、ゆ、許さないぞ!」
「うるさ!なに!?」

私の所属するA級一位のチームメイトはこんな感じでかなり自由人で面白い人達の集まりです。




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