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主に私が悪い


うちの作戦室には人を駄目にするクッションが置いてある。持ってきたのは私だけど柚宇ちゃんもよく使っている癒しグッズだ。ちなみにこれは2個目で1個目は太刀川さんが昼寝に使って涎塗れにしたので2個目からは男子禁制となった。主に太刀川さんのせいです。
そんなクッションに帰ってくるなり頭から突っ伏しているのは私リンである。一言で言うなら罪悪感で死にたいと言うのが今の心境だろう。いや、ないわ。冷静になればなるほど空閑くんにウソをついた私が100%悪いし図星を突かれて逆ギレした挙句に捨て台詞を残して逃げ帰ったとか人として終わってる気がする。

「おーいリンちゃーん、大丈夫ー?」
「………だめかも…」
「うーん、重症だぁ」
「リン、ボクに出来ることがあれば力になろうじゃないか!」
「……静かにしてて…」
「りょうかいぃ!!」

柚宇ちゃんの優しさや雑に扱っても良いリアクションをしてくれる唯我くんに少しだけ癒されるものの優しくされるとむしろダメージを食らう。ああもう、空閑くんに謝りに行こうかな…

「失礼します。出水先輩は…」
「三雲くん!出水先輩は急に用事が入ったからボクが相手をするよ!」
「あ、そうなんですか」

ではよろしくお願いします。と礼儀正しい言葉が聞こえる。そういえば私がクッションに突っ伏してる時にそんな話をしてた気がする。出水くんに用事が入っちゃったとかなんとか。ああそうか、今日は三雲くんが来る日だったな……三雲くん!?

「三雲くん!」
「は、はい。こんにちは斎藤さん」
「こんにちは…その、三雲くんにちょっと聞きたいことが…」

私の言葉に三雲くんの表情が少し固くなった気がする。いやまあ、ですよね。そりゃあチームメイトだし仲良いし聞いてますよね……

「その……空閑くん、やっぱり怒ってた…?」
「え、空閑がですか?ぼくは斎藤さんを怒らせたと聞いてたんですけど…」
「え……」

三雲くんの言ってることがよく分からない。いや、確かに怒った…というか八つ当たりをしてしまった自覚はあるけど空閑くんから見てもあれは八つ当たりでしかなったはずなのに怒らせたって…?

「すみません。空閑は悪いやつではないので何か誤解があったなら解いておきたいんですけど…」
「え、いや…空閑くんは何も悪くないんだけど…」
「そうなんですか?でも空閑は…」


──あんな顔をさせたかったわけじゃないんだけどな。リンには悪いことをしたかもしれん…


「……なにそれ」

悪いことをしたって?空閑くんが?そんなわけあるはずないのに。
居ても立っても居られなくなった私は三雲くんに空閑くんがどこにいるかを聞いて今はラウンジにいると思うと言われたのでラウンジに全速力で向かうことにした。勘弁してほしい。これ以上自分を嫌いになってたまるもんか…!


「ほえー、くがくんがトリガーになったかぁ」
「? どういうことですか?」
「リンちゃんは隠すのが上手だからわざわざ暴くつもりもなかったんだけど、どうやらくがくんは一歩踏み込んだみたいですなぁ。フラグがたった!」
「「?」」


ラウンジへ着くと空閑くんは思いの外早く見つかった。まああの見た目というか頭は目立つからね。周りにいるのは村上くんと影浦くんでなんともまあ出来れば声かけたくないなーと思われる人達だ。特に罪悪感で押し潰されそうな今、あんな裏表のない良い人たちに迷惑をかけるのは更に気が滅入った。けどそんなことも言ってられない。吐きそうなくらい胃が痛い気もするけど自分が撒いた種なのだから自分で回収するのが道理だ。

「あ?リンじゃねーか。なんだよ」
「久し振りだなリン」
「リン」

三人の座ってるテーブルへと足を進めると丁寧に全員がそれぞれの反応をしてくれる。うっ、死にそう。特に空閑くんの顔を真っ直ぐ見れる気がしない…けど!

「あの!」

もういい。
今は取り繕ってる暇はない。

「空閑くんを貸してください!」

私の言葉に三人が作った唖然としたような表情がしんどかった。



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