鬼狩りとして活動するようになって、俺の嗅覚は今世でも役に立つことが分かった。
俺だけではなく善逸の聴力、そして伊之助の触覚も今世でも健在らしく俺達三人は大体の場所さえ教えてもらえればすぐに鬼を発見出来た。
実力こそ実弥さんには敵わないものの、秀でた嗅覚等のおかげで俺達の成績は鰻登りに上がっていった。

俺は本当のことを言うと凛を現場から外したかった。
いや、あのけしからんハーフパンツを人前で穿くというのも嫌だったがそれはまあ、対策法を思いついたからいいだろう。…あまりやりすぎるとお預けを食らうので注意が必要だが。
そうではなくても、こんな平和な世の中で彼女に刀を握らせたくはなかったのだ。
だけど凛は外れる気は全くない。俺が前世で凛のことを庇って死んでしまったのがトラウマで俺から出来る限り目を離したがらないのだ。…本当に申し訳ないことをした。俺は凛を守り切れたと思って死んだが、残された凛の心の傷は今世でも塞がることはないんだ。

だから俺達は基本的に近い地区を担当して、時には一緒に任務に向かうこともあった。俺としても凛が危険に目にあった時にすぐに駆けつけることが出来るのでこれで譲歩しているが…やっぱり凛にはちゃんと伝えるべきだろうなぁ。


「むぐっ!」
「ふふ、隙あり」

俺と同じベッドに潜り込んでいる凛が可愛らしい笑顔で俺の鼻を摘んでくる。
俺達はよく自宅に直帰せずに俺の部屋でこのように朝を迎えることが多い。…俺が凛を誘うからなのだけど。
この施設はゆっくりと休めるようにと防音設備もばっちりで、それこそ、とても致しやすいというかなんというか。初めてここでした時は凛がシーツを全部持って帰って洗ってくると言ってくれたが、それは大正解でしのぶさんに「やることをやったらご自分達で洗濯してくださいね?」と凄まじい匂いで言われたのは今でも忘れられない。

「何考えてたの?」

そう言われると凛のことばかり考えているのだけど、そろそろ凛に伝えたいことがある。だけど、俺だってその、一応緊張だってするし雰囲気作りも大切だと思うんだ。だからこんなお互い素っ裸の状態で言うつもりもなく…

「わ、朝から竈門君は元気ですね!」
「…斎藤先輩が隣にいますからね!」

こんな風に凛と戯れあって迎える朝が大好きだ。

前世の頃から凛に溺れていた自覚はあるけれど、今世でもそれは変わらず。
俺は高校まで前世の記憶なんてものは全く覚えていなかった。ただ、善逸や伊之助。そして凛に会うと分からない懐かしさやモヤモヤが胸にあったりはしていたが。
だけど俺は記憶がなくても凛のことを好きになった。
好きで、大好きで、焦がれて。そんな凛に傷付いて欲しくないと。凛が何をしているのか放っておけなくて…今思えば相当危険な行動をしてしまったがそのおかげで記憶を取り戻すことも出来て、今凛をこの腕に抱けている。

「凛」
「んー?」
「大好きだ」
「ん、私も」

そう言って覆い被されば、凛は俺の首に手を回して俺のキスを受け入れる。
愛しくて仕方がない、俺の可愛い恋人の凛。
もう二度と忘れないと誓うよ。


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