※凛とお相手に幼い息子がいますのでご注意ください。


もし息子が母(凛)に結婚したいと伝えたら?という短いお話三本。


*炭治郎の場合

「母さん母さん!」
「ん、なぁに?」

可愛らしい息子が洗濯物を干している私に駆け寄ってきて抱きついてくる。炭治郎によく似たこの子はまだまだ甘えん坊でとても可愛らしい。最近は色々なことに興味が出てきたようで何かあればこのようにすぐ駆け寄ってくるのだ。

「俺、大きくなったら母さんと結婚する!」

なんと。結婚なんてどこで覚えてきたのか。そういえば善逸が前にそんな話をしてたなぁ、と思い可愛らしい息子の告白に頬を緩めていると私達の様子を微笑ましく見守っていた炭治郎が側まで歩み寄ってきて、息子の頭をわしゃわしゃと撫でる。

「凛は俺のお嫁さんだから駄目」

なっ、にを息子に言うんだこの男は!
悲しそうに眉を顰める息子を炭治郎は軽々と抱き上げてコツン、と額を合わせる。

「お前にもいつか、自分の命よりも大切な人が見つかるよ」
「母さんだって大切だよ!」
「はは、そうだなぁ。でもお前もいつか俺にとっての母さんみたいに命も心も全てを捧げたいと思える人と巡り合えるよ。そしたらその人を世界で一番幸せにしてあげないとな」

そんな炭治郎の言葉を聞いて平常心でいられる訳なく、持っていた洗濯物で顔を隠すと炭治郎の笑う気配がする。本当に狡い人。ちら、と洗濯物から顔を覗かせて炭治郎のことを見ると、それはそれはもう幸せそうに顔を綻ばせている。

「母さんは世界で一番幸せ?」

息子が純粋な質問をしてくる。父さんは本当に母さんを幸せに出来ているのかと。そんなの、決まっているじゃないか。

「うん。世界で一番幸せ」

私の返事に、炭治郎も息子もとても幸せそうに微笑んでくれる。間違いなく、私にとって世界で一番幸せな場所はここだ。



*善逸の場合

「やぁーーーだぁーー!!母さんと結婚するぅーーー!!」
「駄目ですーー!!母さんは俺と結婚してるので他の人にしてくださーーい!」

はい。いつもの日常おはようございます。
善逸は父親になったにも関わらずこのように息子の告白に真っ向から立ち向かうちょっと困ったお父さんだ。いや、普段は良き旦那であり父であるのだけどどうやら私だけは譲れないそうだ。譲れないも何も、ただの息子の可愛らしい幻想だというのに。

「母さんのおっぱいは俺のなんだからなー!!」
「はいーー!?母さんのおっぱいも他もぜーーんぶ俺のもの……あたっ!」
「はいはい、そこまで」

ぺし、と善逸の頭を叩いて善逸に言い負かされそうになって涙ぐんでいる息子を抱き上げる。全く、毎日こんなしょうもないことで喧嘩できる二人が心配になる。そもそも私は善逸のものでもあるし、息子のものでもある。二人のためなら何だって出来るのだから。

「あーーーー!!おまっ、母さんの胸!揉んでるだろ!!」
「父さんになんてあげないよーーだ!」
「私の胸は私のものです!」

全く。と溜息をつくと善逸が息子の目を手で覆って私に触れるだけの口吸いをしてくる。

「夜は俺に返してね?」

さっきまで息子と同じように喚いてたくせに突然こういった大人の余裕を醸し出してくるのは本当に狡いと思う。ばか、助平。だというのに期待してる自分も少し恥ずかしくて顔を逸らすと善逸は楽しそうに息子の目を解放してこちょこちょ〜!と息子と戯れ、良い父親の顔を見せるのだった。



*宇髄の場合

「父さん!俺、大きくなったら母さんと結婚する!」

ぶは、と飲んでいたお茶を吹き出す。いや、え?そういうのって普通母親である私に直接言わない?なんで父親である天元さんに言うわけ?
そんな息子の言葉に天元さんはほぉー?と何ともまぁ意地の悪い笑みを浮かべる。

「何だお前、凛に惚れたのか?」
「ほれた…?お、おれ!母さんと結婚したい!」
「何だよ、結婚って言うのはなぁ惚れた女とするもんなんだぜ?」
「ちょ、天元さん!」

息子、まだ全然幼いんですけど!?
それこそ「結婚」と言う言葉を覚えたのもつい最近だろう。好きな女の人とするものだよ、程度にしか理解していないと思うしこの歳でそれ以上に理解しててたまるものか。

「父さんは母さんに惚れてるの?」
「おお、ベタ惚れ。凛を見るだけで滅茶苦茶にしてやりたくなるし、全てを奪いたくなるな」
「…?好きなのに、うばうの?」
「俺以外は何も考えられないようにするのが男の楽しみ方なんだよ。いいか?惚れた女が出来たらまず──あ、すまん!いや、冗談だから、な?」

まだ幼い息子によからぬ事を吹き込もうとする破廉恥旦那ににっこりと。それはそれはもう怒りを込めて満面の笑みを浮かべると天元さんは私が相当お怒りなことを察して慌てて謝ってくる。遅い!

「天元さん」
「お、おう?」
「暫く睦事はしません!」

私がそう言い放つとえ!?今夜するって言ってただろー!と縋る旦那の声と睦事ってなに?と天元さんに新しい単語を教わりたくてそわそわしている息子の教えて教えて攻撃が家中に広がるのであった。







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