に、に、

結局何も無いままに終わった1年だったのを思い返したけどやっぱり何もない。思い返した所で何も頭には浮かばなかった。俺はもう何もする事がない元旦をあと数時間で迎える訳。
チームの皆が年末年始に予定の入ってるのは勿論知ってたけど、知っていながら予定を聞いた。

「皆はどうすんの。歳の節目」
「んー…俺はちょっくら天界に帰るとすっかなぁ。空は猛吹雪だろうけど」
「俺もテンガン山に帰って来ようかな」
「私も故郷へ帰って来るつもり」

蝋に聞くと白斗、青銅と続いた。
聞きながら、羨む気持ちは無かったと云えば嘘になる。皆、帰る場所があるのが羨ましかった。
そんなこんなで話していると「聞け」と云わんばかりの目つきで牽牛が睨みつけて(?)来る。彼なりの自慢なのだろう、一応聞いてやった。

「…牽牛はどうすんの…?」
「食事を喚ばれて来ます」

即答だ。誰の所とまでは聞かなかったけど多分夜炎さんの所だろう。

「私はシュガーさんとリア充になっテ来る」
「はいはいリア充は爆発」

鬼土が話すと青銅が返すのがもはや最近のスタイルになり始めているのが分かる。
皆には予定があるのに俺は何も無かった(色んな意味でも)。考えている中皆は出掛けてしまい、俺も無意識の内に外へ出た。真夜中だが辺りは真っ暗ではなく青みがかっている。牡丹雪が降っていた。手の平に乗った雪は一瞬だけ象るとモーションを掛けながら消えて水になる。シンオウでは珍しくも何ともない雪、それが何だか切なく思えたのが今宵。雲の中で生まれてもすぐに地に落とされ、最後は溶けて消えてしまう。でも切なさと共にまた羨ましさもあった。水には帰る場所がある。海…空。
俺には帰る場所が無い…。見付ける事もなく死んで行く身かもしれないし、はたまた見付かるかもしれない。来年は何も無く過ぎるのではなく何かをしようと思えた。


(何かが出来る気がしたから―――)

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