冷たい返答

「寒い…」

そう云うと余計に肌寒く感じた。
気のせいかもしれないけれど、最近時の流れを早く感じる。この前まで1日中日の射す夏だったのに急に涼しくなったと思えば秋の気候は過ぎ去り、冬に近い風が吹き出す。まぁこの地方だと雪が降っても可笑しくないような時期なのだけれど。しかしこんなにも寒ければ嫌でも自然と身体も慣れて来るようになった。今は焚火に当たっている、と云うのもあるが。けど彼は違ったようだ。

「本当、寒いよね」
「お前の方が俺より厚着の癖に」
「竜は寒いのが苦手なんだよ」

そう云うと、顔半分ぐらいの範囲を覆っているマフラーをより一層深く覆った。俺はただ、「ふぅん」と返しただけだった。鉄色の空が揺れ、火も掻き消すようなそよ風が吹く。白斗と居る時は大体話さない。と云うか、会話が成り立たない。俺から話す事なんて敵と闘う時ぐらいだし、毎回こちらから会話が途切れる。

「お前っていつも冷たい返答だね」
「…そっちがそうさせてんだろ」
「そうかな…?いつも俺からじゃつまらない。たまには積極的になりなよ」

俺が思った通りの事を返された。勿論、俺が面倒臭そうに返すのは日常茶飯事なのだが。

「俺はお前のそう云うのが嫌いだ」
「ふふっ、そうだね。でもまぁいつかお前から来るのを待ってるから」
「っ……やっぱりお前嫌いだ」

でも最終的にこうなるのは分かり切っていた事だけど。

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