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「兄さん!!」
少女は兄がいる部屋へと飛び込み、押し倒し胸にすがりついた。
「兄さん、兄さん…」
泣きながら顔を彼の胸へと押し付けた。
「まいったなぁ、何度もいうけど私は君の兄ではないのだが…」
聞いてないのだろうか、彼女はなおもすがりついて泣いている。
押し倒された男は、赤子をあやすように背中をぽんぽんと叩いた。
しばらく続けると、いつの間にか彼女は寝入っていた。
それに安心した男は彼女をそっと布団をかけて、部屋の外へと出て行った。
兄、もとい土井半助。
胃痛の原因は担任する教え子のことだけではない。
最近現れたこの少女にも悩まされていた。
2014/5/16
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