神様なんて居ないのに
宗教が嫌いだ。
尊敬していた母は、第一次
貴方もお祈りしなさい、と母は言う。そうすれば神様がこの街を守ってくれるから、と。この街を守っているのはボーダーだというのに、彼女は神の御加護だと本気で思っている。俺がこの街を守るボーダーの一員だということすら知らない。昔は家の外での俺の生活を鬱陶しいくらいになんでも知りたがっていた母は、今では神の話しかしない。俺が言う『サークル』や『バイト』がボーダーを指すということに、彼女が気付く日は来ないだろう。ヒントなんて、あちこちに溢れているのに。
あいつの──苗字名前の嵐山准への想いは、まるで宗教のようだった。母が神を信仰するそれと、良く似ていた。そしてこれは俺が勝手に抱いた印象ではなく、彼女自身が、そう自己申告していたのだ。
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