「お狐様」

僕が通う忍術学園には"お狐様"と呼ばれる人がいる。

「藤内やないの。そんなに急いで…どないしたん?」

なぜお狐様と呼ばれるのか一度聞いたことがある。

「今日は委員会の日じゃないですか。立花先輩たちがお待ちですよ」

なんでも5年前の入園のときに狐の大群を引き連れてこの学園に来たらしいのだ。

「おや、それはいけない。仙蔵先輩を怒らせると後が怖い」

まるで狐たちが先輩を守るかのように群れをなしていたと。
故に、先輩はお狐様と呼ばれるようになったそうだ。

「まったく、昨日ちゃんと伝えたじゃないですか」

例えばもし、先輩が本当にお狐様だったとしたら、それはそれは美しい白銀の狐なんじゃなかろうか。

「次回からは忘れんようにしておくよ」

さらりと揺れたお狐様の白銀の髪は日に照らされて僕は目を細めずにはいられなかった。


110105
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