弟、よおく聞きや。今からお前はこの山を降りるんや。そして西にある忍びの学舎へお行き。


空狐様のお申し付けなんや、お前一匹じゃ心細かろう。兄ちゃんも行けるもんなら一緒に行きたいくらいやわ。


けど、これはお前一人でやること。これからはお前はただの狐やなくて一人の人間として生きていかなあかんのや。


6年間、忍びのいろはを学ぶまで空狐様や兄ちゃんのもとに帰ってきたらだめやで。


ほらほら、これから一人でやっていくっちゅうんにそない情けない顔するんやない。


安心おし。お前やお前の行く学舎に害を為す存在が現れたときは兄ちゃんが一族の皆を連れてお前のもとへ駆けつけるさかい。


ほら、もう時間や。いいかい、人間にしっかり化けるんよ?
狐やとバレたら後が面倒やさかい。




兄ちゃんはここでお前の帰りを待っとるよ、さあ、お行き。
一族の皆が見送りにやって来とるから。



110105

「#ファンタジー」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -