最近よく夢を見る。夢の中でも、空はどんよりとしていて、ぽつりぽつりと雨が降っていた。そして、夢の中で俺は誰かと話をしている。楽しそうに、愛おしそうに。相手は、ヴァリアーの隊服に身を包んでいるが見たこともない女だった。俺より小さな身長。小さな手。女特有の柔らかな肌。小さな口から紡がれる声は、とても穏やかだった。
 夢の中の俺はこの女に恋をしていたんだと思う。断言できないのは、今まで恋をしたことがなかったからだ。女と車は乗りこなしてなんぼだとか言うし。

 「Ti amo,Bel.」

 女がそう口にする。いつもここで場面は変わる。シチュエーションは様々だが、必ず女は俺の目の前で死んでしまうのだ。俺はそれを呆然と見ている。助けられなかった。守れなかった。涙が頬を伝う。覚束無い足取りで、女に近づき、冷たくなっているであろう体を抱きしめる。雨は止まない。頬を伝う水はなんなのか、もう分からなくなっていた。

 「         」

 俺は、なんて言ったんだろうか。



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