隼人が私を護ってくれるって言ってくれたのがすごく嬉しかった。あの後もHRの時間になるまでいろんな話をした。すごくすごく楽しくていっぱい笑った。この時間がずっと続けばいいって思った。でも時間は無情に過ぎていってHRを知らせるチャイムが鳴った。
「…このままサボろうぜ」
隼人は気を使ってる。
(だって隼人が優しいって知ってるから。)
「ううん、行くよ。教室」
本当は行きたくない。隼人と一緒にサボりたかった。でも、もう逃げないって決めたから、
行くぞって握ってくれた手は暖かくて、感謝の気持ちでいっぱいなった。
(本当に、信じてくれてありがとう。)
教室からは私の好きだったみんなの笑い声が聞こえる。
(今じゃお世辞でも好きとは言えない笑い声。)
「大丈夫か?」
「……うん。」
心配そうに聞いてくれる隼人に嘘をつく。ドキドキとうるさい心音を深呼吸して静め、扉に手をかける。開けた瞬間、笑い声は静寂に変わった。
「んだよ。学校来てんじゃねーよ」
「てゆーかよく来れるよね」
「学習能力ゼロじゃん」
「ただのバカなんだろ」
一人が言い始めると、周りも釣られて言い出してしまう。
(やっぱり、ね。)
でもやっぱりみんなからの罵倒は身に堪えて思わず俯く。
「バカはてめえらじゃねえか」
貴方は私の救世主。
(隼人の声に教室は水を打ったように静かになった。)