怜華ちゃんからの開始の合図と同時に怜華ちゃんは近くにあった誰かの辞典を手に取り高く掲げ、

自分へと振り落とした。

「なに、やって」
「ふふ、そのうち分かるよ」

そうとだけ言って教室を飛び出していった。
後に残ったのは私と怜華ちゃんの額から流れた血だけだった。


5分ほどしただろうか、事態が上手く呑み込めないままただ立っていると勢いよく扉が開いた。

「あ、山本?」

そう扉を開いた人物の名前を呼ぶと、返事の代わりに拳が飛んで来た

いくつかの机や椅子を倒してようやく止まった私の体は悲鳴をあげた。

「な、にす」
「なにじゃねぇよな。お前、怜華に怪我させたみてじゃねえか」

恐らく辞典のことだろう

「あれは、怜華ちゃんが自分で・・・!」
「ふざけてんじゃねえよ自分で傷つける奴なんているかよ!」

ああこの目は山本が本気でおこった目だ。

「違う私じゃない!」

泣きそうな目で山本を見ると後ろで至極楽しそうに口角を上げる怜華ちゃんがいた。








目の前にいるのは昨日までの友だち








(もう信じてくれないのね)
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