落乱 三反田数馬


最近、変わったことが三つある。
一つ、上級生が嫌に殺気立っていること。
一つ、医務室に骨格標本が置かれたこと。
一つ、保健委員に所属する五年生が居なくなったこと。

その五年生は僕と恋仲にあり、周りから親しみを込めてコーちゃんと呼ばれていた。そして、医務室にやってきた骨格標本の名前もまた、コーちゃんと言った。


「先輩、お気づきですか。僕が、僕たち下級生が、先輩がお亡くなりになっことに気がついていることを」

先輩は優しい。僕たち下級生が泣くのを何よりも嫌う。

「先輩、お気づきですか。貴方を殺した忍者の首を討たんと上級生の方々が毎夜、走り回っているのを」

先輩は愛されている。学園はそんな貴方の死を心から嘆いている。

「先輩、お気づきですか。僕は、僕は今でも貴方しか愛せないのです」

月日が経てば、貴方を忘れてしまうでしょう。いつの日か、僕は貴方以外の人を愛すのでしょう。でもそれは今ではないのです。だって、そうでしょう。僕はまだ、貴方を愛し、嘆き、恋い焦がれているのですから。




口付けた先輩に肉はなく、先輩の面影は、遠の昔に消えてしまった。





120322

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