落乱 善法寺伊作
私は神に愛されているのだと笑っていた僕の愛すべき友人(馬鹿)は、泥濘に足を滑らせ崖から落ち、そのまま神に手招きをされました。
だから僕は呆れました。ずっと一緒に生きてくれると、少なくとも学園を出るまでは僕の不運を笑い飛ばしてくれると、彼は言っていたのに。
約束すら守れない馬鹿だとは思いませんでした。そんな嘘つきな男だとは思いませんでした。
卒業まであと三週間のことでした。三週間経てば彼は僕から解放されていたのです。何も迷うことなく彼の愛する神の元へと旅立てたはずなのです。
120120