REBORN! 古里炎真


「い、いたい?」

ああもうどうしてあたしは。
委員会があるから先帰っててって言ったのはあたし。古里くんに向かってバイバイって言ったのも、手を振ったのもあたし。
でも、古里くんにケガなんてさせていない。
どうして古里くんはケガをしているの?

「大丈夫」
「ウソだよ‥」

顔にもたくさん痣があるのに、表情をつくるのも辛いはずなのに、なんで古里くんはこんなに優しく笑うんだろう。
なんで、なんで。

「なんで泣くの‥」
「だ、‥って!」

古里くんが傷つくのは嫌なのに。古里くんには傷つかないでいてほしいのに、

「あたし、なんにも出来なくて‥」

あたしは手当てして、またすぐに傷ができてもそれでも手当てしていって、バカの一つ覚えみたいにそれしか出来ないから。
流れないで、と願った涙はそれを無視して流れそうになる。

「そんなことないから」

かすり傷のある腕がそっと伸びてきて不器用にあたしを包み込む。
うっすら香る血の臭いと古里くんの体温を直に感じる。

「僕、どんくさいし、こうやっていじめられるし、でもそれでも僕の隣にいてくれてる」

あたしの肩に顔が埋められる。さわさわと擦れる髪の毛がこそばゆい。

「それだけで、十分だから」

ああ、ああ、古里くんはなんて優しいの。

「うっ、ふえええん」

震える手で古里くんの制服を掴む。
ごめんね、ごめんね。古里くん、大好きだよ。



背骨から溶けていく



背中に添えられた手から順にじわじわと、古里くんと同化していく錯覚に陥ってしまった。








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