骸雲 | ナノ

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- カラフル -


骸がもういいや!ってふっきれたから、僕ももういいや!って思った。



カラフル



美術授業の課題で絵を描かなければならなかったから、骸の家で僕らは絵を描いていた。骸は器用だから僕よりもうんと綺麗な絵を描いていて、僕よりも早く仕上がりそうな勢いだった。僕はというと、なんど下書きしても上手くいかなくていらいらむしゃくしゃして、3枚ほど画用紙が無駄になってしまった。

ガシャン、僕の絵が半分描けて骸の絵がほぼ完成したとき、そんな音がして僕は驚いて画用紙から骸の方へと目を向けた。そこは辺り一面にいろんな色が散らばりとてもカラフルで美しかった。でも残念なことに骸の絵は絵の具まみれで、何が描いてあったかわからないくらい汚れていた。


「あ、む、骸……」

「………」


悲しそうな表情でもう提出できそうにない絵を骸が見つめていたので、僕はどうすればよいかわからずにうろたえていた。しばらくすると、骸がにっこりと僕に微笑み、もういいや!と叫んだ。なんだか何もかもどうでもよくなった気がして、僕ももういいや!と叫んだ。
骸は絵の具をとかして色のついた水を辺りにまき散らし、パレットの絵の具を筆で飛び散らせた。辺りはぱっと明るい色で満たされ、僕は気分が良くなった。そして、自分の描いた絵があまりにも普通でつまらないと思い、骸と同じように絵の上にいろんな色を散らせた。


「外、外行きましょう!」


骸の提案で、風船に色水をいれて水風船にしたものをたくさん作り、それらと筆と絵の具を持って、ガレージにある骸の自転車に乗って外で遊ぶことにした。
骸がハンドルを握り、僕がその後ろに座って、急な坂道を一気に下った。坂道の途中の家々に水風船を投げ入れると、家の中から悲鳴があがり、通りすがりの人の体に筆で落書きすると、怒って追いかけてきた。でも坂道を猛スピードで下ってゆく僕らに追いつくはずなんてなくて。
次第に周りから歓声があがり始めたので後ろを振り返ると、僕たちが汚した壁や道路はとてもカラフルで綺麗になっていた。写真を撮っている人や、何かのアートだと噂する人たちもいた。でもそんな人たちも、僕の視界に写っては消えてゆくのでよくはわからない。
本当に楽しい坂道で、下りきって自転車を降り、楽しかった!と二人で抱き合っていると、警察が待ち構えていた。絵の具まみれの僕たちは、警察署で警察官や学校の先生にこってり絞られたが、全く平気だった。
翌日、あのまま提出した僕らの絵がそのままクラスのみんなの絵と一緒に飾られていて、ひときわ目立っていた。僕と骸は二人でおっしゃー!と叫んで、また先生に怒らた。
















10/3/6
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