骸雲 | ナノ

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- ゆらゆら -


電気もテレビもパソコンも。光を発する物の電源を一切入れず、僕らはリビングのソファーに座っていた。窓ガラスに雨粒が叩きつけられ、ばちばちとうるさい音をたてているのに僕たちはそれを感じさせないくらい静かだった。会話がないのもあるし、なんとなく僕たちから漂う空気が静かで、空間そのものが静まりかえっていた。外は大雨強風。
突然、部屋に水が波の様に侵入し、僕らをざぶんとのみこんだ。部屋は一瞬で海と化した。

不思議と息苦しさはなく、呼吸をすることができる。無我夢中で骸の方へ泳いでいるのに、体が進まない。まるで宙を舞っているかのような錯覚。すると骸はその海の底の暗い闇の部分へと沈んでいった。僕はもがくのをやめ、体を流れに任せてゆっくりゆっくり沈んでいった。

ああ、骸死んじゃった。ああ、僕ももうじき……。


ゆらゆらさ迷う僕らの魂。
また目がさめてあがいても、同じことの繰り返し。
二人とももうこの世にいないってわかってるのに、僕らはそれをいつまでもいつまでも認めなかった。










もしかしたらって、冷えきった魂に火をつけては波に揉まれる。



ゆらゆら















10/3/4
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