骸雲 | ナノ

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- 入学式 -


僕は今年で16になる。つまり愛しの並盛中に居座ることはもう不可能なのだ。応接室も、もう僕のものではない。室内の私物は全て草壁に家へと運ばせた。 僕が春から通うのは並盛第一高校。この辺では有名な進学校で、僕はこうみえて意外と勉強ができる。別に裏で何かしたわけでもない。


入学式


まっさらな制服に袖を通し、高校へ向かう。今日は入学式。別に楽しみでもなんでもない。新しい友だちを作るとかそういうめんどくさいこともしたくない。どうせここもつまらない人間の集まる場所だ、僕はいい大学に行けたらそれで良いんだよ、などと中学と変わらずひねくれ者のまま僕は高校の門をくぐった。
入学式が終わって教室に案内されると、クラスのほとんどがキョロキョロしてクラスメートを観察している。僕はクラスメートになんて全く興味がなく、先生の話が終わり書類を受け取ると足早に教室を後にした。
外に出ると暖かい春風の中を桜の花びらが舞っていた。空は透き通るような青で、希望に満ち溢れているようなそんな天気だった。でも僕はちっとも面白くない。もう以前のような風紀委員長としての権力はここでは通用しないだろうし、自分と合うような人間がここにいるとは思えないし、ちっとも面白くない。 退屈な気分で高校の敷地から出ようとしたとき、突然声をかけられた。


「雲雀くん!」


振り返ると藍色の髪の少年が膝に手をついて前屈みになり、ぜえぜえと荒い息をしていた。おそらく走ってここまで来たのだろう。


「何のよう?」

「このプリント、教室に忘れてましたよ」


驚いたことに、プリントを僕に渡すために顔を上げた彼の両目は左右で色が異なっている。オマケに日本人ではなかった。もうひとつ驚いたことは、話しかけるなオーラ全開の僕になにくわぬ顔で話しかけてきていることだ。僕は一生懸命な彼をおかしく思い、笑いながらありがとうを言った。


「な、なんで笑うんですか…!」


顔を真っ赤にして彼が恥ずかしそうに僕に言った。そして突然僕の顔の前に自分の顔を近づけて……僕はキスされるのかと思ってドキドキしてしまったが、彼は僕の髪に付いていた桜の花びらを取って、


「花びら、雲雀くんにとっても似合いますね」


今度は僕が真っ赤になってしまった。相手は男なのに。僕はくるっときれいに180゚回転してスタスタと早歩きをした。後ろで彼は「あ、僕、六道骸と申しますー!これからよろしくお願いします!」と叫んで自己紹介していたが、恥ずかしくて振り向けなかった。






明日から学校へ行くのが憂鬱……じゃないかもしれない。
















10/7/3
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続くはずが断念…。
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