骸雲 | ナノ

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- 魔性 -


ほら、まただ。いつもそうだ。
どれほどあがいて、どれほど抵抗しても、あらがうことなど出来やしない。美しい、なんて美しいんだろう。君の存在や君の全てが芸術だ。なんて聞いて歯が浮くような台詞も君に使えばなんとも思わない。寧ろふさわしいように感じる。そんな魔性の魅力を持つ君に僕は夢中。



魔性



「はあっ、はぁ」

「クフフ、息上がってますね」

「…うるさい」


ベッドの上に君と僕。纏っているのはシーツだけ。白いシーツ、白い肌。僕だけは肌がほんのり色付いている。後退る僕を追い詰めるように近づく君。左右で色の違う目が僕を捕えて離さない。
ヘッド部分にぶつかる。その目に、その指に捕まる。有無を言わさず唇が奪われた。君と僕の冷たい氷の心が溶けだす。どうやら、虜になって君の物になる以外他に道はないようだ。
ならばその道を行こう。例え間違った道であろうと、僕と君との間ではその道こそが真実、生きる全てなのだから。






見えない鎖で僕は君の心に繋がれた。もう何処へも逃げられない。いや、僕自身が君から逃げようとはしない。絶対に逃げやしない。離れるものか。
ほらね、僕は魔性の魅力で妖しく艶やかに光る君を愛してしまったから頭がおかしくなったんだ。そんな風に君に溺れる自分さえも愛しく思えてしまう。


なんて愚かなんだろう。













09/8/30
10/6/13
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