骸雲 | ナノ

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- He's Electric -


抱きしめたとき、指先に違和感を感じたんだ。あきらかにおかしな何かが指先に触れたんだ。
服を脱がせたら骸、恥ずかしそうに、やめてください!、って何回も叫んで。そんなキャラじゃないだろう君は。でも僕に裸を見せたのはこれが初めてだからね。そりゃあ恥ずかしくても仕方ないか。
背中をさすれば変な声あげやがって。ふざけてるんだか本気なんだかわからないからこっちまで顔が赤くなる。……あ、なにこれ。


「ねぇ、これなに?」

「………」


くるっと僕の方に向いてそのままだんまりを決め込んでうつむいたままの骸。僕に嫌われたと思ったのかな?そういう君の行動にテクノロジーのすごさを改めて実感させられるよ。すごいね現代は。10年前の人に言ったって信じてもらえないよ。古い人間だもの。よかった僕は新しい人間で。


「アンドロイドなんでしょう?」

「いつから…いつからですか、それに気づいたのは」

「今さっき」

「……まったくあなたという人は。僕にプログラミングされている人間の情報とは全く違うことばっかりするので僕の頭パンクしそうです!」


あえて骸が「頭」と言ったことには触れなかった。きっと人間になりたいんだろうね。だから触れなかった。
アンドロイドってバレちゃったのになんでそんなに平気なの?もしかしたら僕に破壊されてゴミ箱行きかもしれないんだよ?それなのになんでジョークかましたりできるの?それもプログラミングされたもののなかのひとつなの?
そんなのどうでもいいや。骸は骸だから関係ないや。今もずっとふてくされたような顔で僕を伺う骸が愛しくてしかたないから、アンドロイドでも骸だからいいや。どうせ骸、アンドロイドだからベースとしては僕のことずっと好きなんでしょう?たまに僕に妬かせたりするのは骸がハイテクなアンドロイドの証だよね。骸すごいね。


「アンドロイドでもいいよ」

「え……」

「いいよ、ずっとここにいて」

「でも、」

「骸は骸なんでしょう?人間でもアンドロイドでも宇宙人でも骸だったら別になんでもいい。だって僕、骸のこと好きだし」


そうやって顔が赤くなったり、目に涙溜めたり、骸がアンドロイドだなんて信じられないんだけど。でも背中に普通の人間にはないものがあったからアンドロイドなんだよね。変なの。じゃあ僕がアンドロイドでもおかしくないよね。


「絶対ずっと一緒にいて幸せにします」

「浮気しないでよね」


アンドロイドだから当たり前でしょ、とか、そうプログラミングされてるんでしょ、とは言わない。何があってもそういう類のことは絶対言わないって神様に誓う。君が人間になりたいアンドロイドなら、神様が君を人間にしてくれないのなら、僕が君を人間にしてあげる。



He's Electric




























10/4/18
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