驚きの事実だが、カリムは王子様ではなかった。熱砂の国には、わたしが前にいた場所と同じように、悪人も善人も、親切な人も、そうじゃない人もいた。カリムの家はわたしを持て余しているし、カリムはわたしがいた街への道なんて覚えてないようだし、わたしは何の後ろ盾も財産も持たない、健康で若い女になったわけだ。

 砂漠の向こうにある国は天国ではなかったし、カリム・アルアジームは王子様ではなかった。
 でも、この国の夜空には星が輝く。街中が魔法で満ちている。そして、カリムがわたしを見る、赤い瞳の燦めきも変わらない。




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