悪魔が私に優しい理由





喧嘩をした。つまらない喧嘩だったし、まあわたしが悪かったところも2%くらいはあったかもしれないし、謝ってもらったのをぐだぐだと責め続けるつもりはない。ないけどさ。

「ねーマンドリカルドも食べてよ」
「まずい」
「あんたが!買ってきた!ケーキでしょ!」

お詫びとしてケーキを買ってきたのはまあいい。ケーキ屋さんのチョイスもぜんぜん悪くない。悪いのは量と保存方法だ。つまり全てマンドリカルドの責任だ。

「捨てりゃいいじゃないっすか」
「ケーキ屋さんに申し訳ないと思わないの?」
「金は払って......サーセン」

さっきからお茶しか飲んでないマンドリカルドは、わたしが帰ったら間違いなくこの大量のケーキを破棄するだろう。食べきるまで絶対にわたしは帰らないからな。

「そういう名前もフォーク止まってっけど」
「たーべーてーまーす!」
「お腹こわすかもしんねえっすよ」
「乾燥してるだけで腐ってないし、あ、おかゆにする!?」
「ハハッ、ぜってえまずい!」

笑ってんじゃねえぞ!なんだかお腹がムカムカしてきた。たとえスポンジがカピカピでなくても、この量の生クリーム(半分溶けてる)はキツいものがある。あーあ、本当なら美味しかったはずのケーキさんたち、雑村出身の雑田雑男のせいでこんな姿にされてしまって.......さぞ無念だったろう.......

「なんでエアコンガンガンに効いてる部屋に、わざわざ箱から出してケーキ置いとくの?フィルムまで、わざわざ!わざわざ剥がして!」
「名前がリンゴは剥いて出せって」
「フルーツとケーキはちがうでしょ」
「おやつだろ」

というかリンゴであっても切ったままで放置はありえないからね。マンドリカルドの普段の食生活が心配になってきた。普段なに食べて生きてるの?腐ったものとか食べてない?

「なんすかこれ」
「健康診断」
「んーーー、隠語?」
「セックスはしない、手はなして」

マンドリカルドのお腹をつまもうとして、筋肉にはばまれる。こんだけ脂肪ついてないなら、わたしの分のケーキ食べるくらいしてくれないかな?

「マンドリカルドはもっとおやつ食べたほうがいいと思う」
「肉食べたくなってきたな.........出前とっていっすか?」
「このケーキ!!!!どうすんの!!!!」
「名前は俺の気持ちよりケーキ屋の気持ちが大事なのか?」

真面目な顏でバカみたいなことを言わないでほしい。腹減ってるだけだろ!

「こんだけ時間かけて食ったんだから、ケーキも成仏してるしてる」
「してないとおもう」
「名前もそろそろ美味いもん食いたいっしょ」
「だからさあ」
「ピザとかは?23時ラストオーダーっすよ?」
「ぐっ......」

深夜ピザなど、まともな神経の女の子なら断るべきだ。許されていいものではない!悪魔のささやきに抵抗できなかったのは、わたしの心が弱かったのではなく、チーズの魔力が強すぎただけだ。

「あっまたこんな大量に注文して!」
「ぜんぶ筋肉になるから」
「それ嫌味?」
「えっなにが?」

171cmで68kgある人間の言うことはちがうな......とおもいつつ、結局ピザを食べながら朝の3時まで映画をみてしまった。
次の日の朝、カピカピケーキを元気に食べるマンドリカルドがヘラヘラと笑いながら、昨日はお腹減ってなかったし、と言い訳をする。お前、昨日もその気になれば食べれたのを食べてなかったな!!!!!

「名前が食べ終わるまで帰んないとかいうから」
「わたしのせいにしないで!」
「いやお前のせいだろ」


(週5で喧嘩する)




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