きみからの愛を証明させてくれ
頭上が急に暗くなる。あっこれはよくあるあれだ。そう、落下物!!!!!
無駄だとはわかっていても、とっさに隣にいたギグルスにおおいかぶさる。
「あれいきてる」
「怪我はしてないかい」
「くらーい」
「はいはいどかすよ」
そういえばヒーローも一緒にいた。やれやれ久しぶりに助かったな。
ランピーの空気を読まない文句に肩をすくめたディドくんが、頭上30cmくらいの場所で支えていた謎の巨大物体を、ぽい、と放り投げる。あーそういう処理をしたら......あっやべ、みたいな顏を一瞬して、すぐにとってつけたような笑顔をつくるディドくんの背後に大爆発が見えるのは、まあ気にしないことにする。
「........名前ちゃんがギグルスかばってる」
「あ、ごめんね、どっか擦りむいてない?」
「大丈夫よ」
名前ちゃん、王子様みたいだったわ!とキラキラした目で言ってくれるのはありがたいけれど、実際に助かったのはディドくんのおかげだから、ちょっとむずかゆい。
「ねー!なんで!?なんでギグルス?」
「いやなんのはなし?」
「名前ちゃんがおれのことかばってくれなかった」
「私の方が可愛いもの」
「おれだってかわいい!」
ランピーがぐずぐずと、わけのわからない泣き言をいう。いや、かばうかばわないの話するなら、ランピーがする方でしょ、される方じゃなくて。それに今回はディドくんがほぼ完璧に助けてくれたじゃん。
「名前ちゃんがおれのこと大事にしてくれない.......」
「あのねえ、ランピー、体格差の問題なんだよこれは」
「きもちの問題だよ!おれのこともかばってよ!」
「ランピーくん、その原理でいうなら名前ちゃんは僕のことをかばってくれるはずだ」
め、めんどくさくなってきた。はなしがどんどん面倒臭い方向に進んで行く。ランピーもディドくんも、わたしより何倍も頑丈でしょうが。というかわたし女!お前ら男!かばわれたがるな!
げんなりしていると、ギグルスが私に任せて、と前に立ってくれた。
「名前ちゃんは私がいちばんすきなのよ、せいぜい二番目をめぐって争えばいいわ」
「ギグルスぅ.......!」
「うふふ、とっさの行動って本心がでるっていうじゃない?」
「いや、彼女が僕を庇うスピードより僕が動くのが速かっただけだよ、そうだろ?」
「やだ!じゃあおれは!?なんでかばってくれなかったの!?」
「あのさぁ、どうやってかばえっていうの?わたしが突き飛ばそうとしても一ミリも動かないでしょ君たち」
「おれはちゃんと突き飛ばされるよ!」
「僕だってその気になればできるとも」
ぐだぐだと言い訳をする二人に文句を言おうとする直前、空が暗くなる。うーん、なんて都合がいい、いや、悪いんだろうか。頭上から落ちてくるなにかをみて、三人が期待するようにこちらを見つめてくる。ヒーローはなんとかできるんだからなんとかしてくれよ!
「わたしもかばわれたいよ!バーカ!」
そう叫んだときには潰れて死んでいた。
あとで聞いたら、ランピーとディドくんはあれで死ななかったらしい。やっぱりかばう必要なかったじゃん!!!!!
(愛してもらえてることの確認より大事なことなんてないだろ)
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