わたしのためだけにいるんだって




「ねえイギリスさん、」

「俺がいるだろ」

「メリーポピンズに会いたいんです!!!!!おねがいします!!!!!」

「俺だって魔法ぐらいつかえる」

「魔法が見たいんじゃなくて、メリーに会いたいんです、メリー、メリーポピンズ......なんでもできる素晴らしいひと.....」

ぐすぐすと泣き声をだすわたしの背中をぽんぽんと叩きながら、イギリスさんが不満げな声を出す。

「俺はお前のためならなんでもするぞ」

「メリーは甘やかしたりしませんっていってた.....」

「なあ、俺がいるだろ?何処にでも連れてってやるぞ、バッキンガム宮殿でも、時計塔のてっぺんでも」

「屋根の上からロンドンの夜景がみたいです」

「よしきた、ロンドンの夜景は世界一だぞ」

「星と鳥と煙突掃除人にしか見れない光景......イギリスさんだいすき.....」

「なあ、やっぱり甘やかされるほうがいいだろ?」

イギリスさんに抱きつくと、細められた緑の瞳と視線がぶつかる。嫉妬深くて、皮肉屋で、でもわたしにはとびきり優しいこのひとの隣は、心地よくて、毎日がひどく長く感じられる。

「甘やかされたらだめになっちゃいますもん」

「俺のためにだめになってくれよ」

「考えておきます」

「ああ、好きなだけ考えていればいいさ。俺の腕の中でずっとな」


(あなたの隣にいると時間がとまってしまったかのよう)




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