愛が美しいわけがない




「ダンデお前さ」
「ん?」
「なんで名前にポケモン渡しちまうかなァ」
「なんだそのことか」

キバナは名前のこととなると、途端に融通が利かなくなる。ダンデとしては、彼の気持ちはよくわかるが、もっと彼女の気持ちを考えてやるべきだと思っていた。キバナはバトルでもそうだが、基本的に力づくで自分のすきなように相手をコントロールしようとしがちだ。
だがダンデは、彼女の性格や個性に合わせて話をすれば、分かり合えると思っているし、そちらのほうが絶対に名前のためになると確信していた。

「名前ちゃんはあれで諦めが悪いからな、俺があげなかったら違う奴からもらってただろうさ」
「おい、おれサマが止めなかったら、名前は勝手に外に出てたかもしんないんだぞ」
「そこはもちろん、キバナを信頼していたんだとも」
「あん?」

キバナは馬鹿じゃあないし、勘も鋭い。無意識だろうが、ダンデが自分の敵にはならないだろうと、いや、同類だと感づいていたのだろう。ダンデが名前に会うことを邪魔しないというのは、そういうことだ。

「名前ちゃんはまだ子どもなんだから、頭ごなしに説教なんてするもんじゃあないだろ」
「だからおれサマに負かさせたってか?自分でやれ自分で!」
「そんなことをしたら、俺が名前ちゃんに嫌われてしまう」
「がーーー!おれサマだって嫌われたくねーーーよ!!!」

しばらく暴れたあと、どーしようかな、甘いもんでも持っていくか?と頭を抱えるキバナは、やっぱりわかって止めていたわけじゃあないらしい。

「キバナは感覚で動きすぎなんだ」
「おれサマの優しさを利用しやがって!この!クソ!」
「次はレベルが高いポケモンを譲ってあげるつもりだから、よろしくな」
「高レベルのポケモンなんて言うこときかないだろ......でも受け取るんだろうなァ、あーもう名前はバカだな......」
「子どもはいろいろ体験して学んでいくものだからな」

手間がかかるが、ひとつひとつ、ちゃんと教えてあげるべきだ。俺たちの見守っているところでなら、何回でも失敗してもいい。かわいいあの子のためなら、どれだけ時間がかかっても、苦にはならない。

「あ"ーーーーー、なんであんなワガママに育っちまったかなぁ」
「う〜ん、ちょっと甘すぎるかもしれないな?」
「しょうがねえだろ!かわいいんだから!甘くもなるわ!!!」
「うんうん、可愛いよなあ」
「かわいいんだよなアー、おれサマは名前なら食べられるぜ」

そういうことをすぐに口に出すから、名前ちゃんに怖がられるんだとダンデは思ったが、まあそのぶんだけ、自分のほうに寄ってきてくれるのだから、何も言うことはしないのだった。ライバルがいつでも協力的だとおもったら大間違いである。


(無自覚にヤバいキバナおにいさんと、計算づくでヤバいダンデおにいさん)




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