ゼリーはごはんじゃない
「名前、お前、今日何食べた?」
「ゼリーたべたよ。2個もたべた。えらいでしょ」
「昨日の約束覚えてるよなァ〜?」
「しらないし」
ほっぺたをむぎゅっと挟まれる。露伴くん、すぐ怒る。
「肉か魚食べるって約束しただろーが!」
「なんでたべたのにほめてくれないの?ひどい、きずついた」
「あのなァ、ゼリーじゃエネルギーになんないんだよ。また点滴されたいのか?」
点滴は嫌いだ。栄養失調も、露伴くんのスタンドでぱぱっと治してくれればいいのに。
「ヘブンズ・ドアーで食べたことにしてよ」
「なんで僕がそんなことしなくちゃなんないんだッ!絶対にイヤだねッ!」
「あっそ。じゃあね、露伴くん」
「まて!まともなもん食べるまで帰さないぞ」
「露伴くんには関係ないじゃん〜!お腹へってないの!」
お腹はへったことがないし、噛むのはだるいし、味がするとイライラするから食事はキライだ。
なんで食事なんてしなくちゃいけないんだろう。植物になりたい。
「チッ。お前、また痩せただろう。倒れられると周りが迷惑するんだよ!ガキじゃないんだから、最低限人間らしい生活をしろッ」
「露伴くんだって周りに迷惑かけてんじゃん。むしろ迷惑しかかけてないじゃん」
「ハァ?僕がいつ!誰に!迷惑をかけたっていうんだ!」
「うっそ自覚してなかったの?露伴くんそれ相当ヤバイよ」
ギャーギャーうるさい露伴くんから顔を背けて、耳をふさぐ。
逸らした目線の先には、仗助くんがいた。バッチリと目があう。
「えっわあ、どうしよう、露伴くんちょっと間にたって!」
「げっアホの仗助じゃないか。おいこら、僕を盾にするなッ!」
仗助くんがこっちに近づいてくる。どうしよう、ゼリーしかたべてないってしられたらがっかりされる。
「よぉ、名前!ちゃんと飯くってっか?」
「い、いまから、たべにいくとこ」
「そっか、えらいなァ」
「え、えへへ、」
頭を撫でられてほおがゆるむ。「チッ」とすごい大きな舌打ちが聞こえてきたが無視する。
「今度、俺と一緒に飯いこーな」
「うんっ!」
はー、仗助くんかっこいい。仗助くんの後ろ姿をみつめていると、露伴くんに頭をガシッとつかまれた。
「いったい!なに!」
「あんなバカにデレデレしてるんじゃあないッ!いいからさっさとたべにいくぞ!」
「仗助くんはバカじゃないもん」
「吐くまで詰め込んでやるからな......」
露伴くんの目はマジだった。仗助くんにもたべるっていっちゃったし、大人しくついていく。
ぎゅっと握られる露伴くんの手は冷たい。手が冷たい人は心が優しいなんて、誰がいったのかはしらないけど嘘っぱちだ。だって露伴くん、ぜんぜんわたしのこと褒めてくれない。
(仲は悪いけど手は繋ぐ)
感想はこちら