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「……模擬戦?」


朝食のトレーを持ったまま、透輝はひょい、と掲示板を覗き込んだ。
四月島の公用文字で『互いに互いを磨き合い、更なる高みを目指せ!』と言ったようなことが書いてある大判のポスターが、掲示板のど真ん中で存在を主張している。
透輝は取り敢えず、視界の下端に入り込んできた茶褐色の頭に問いかけてみた。


「紫苑さん、これどう思う?」
「…どう、って言われましても。面白そうだとは思いますー」


紫苑の言葉に相槌を打つように、彼女の細い腕に抱かれた兎――ヴェーラがきゅう、と鳴く。透輝の持つトレーからさりげなくサラダのハーブをかじる白い兎に気付かないまま、二人は話を続けていた。


「明後日からかあ……ま、なるようになるだろ」
「またそんな適当な」
「それよりさ、後で雪合戦しようぜ」
「雪合戦!?」


同じように朝食のトレーを手にしているところを見ると今ラウンジに降りてきたのだろう、まりあんが弾んだ声で割り込んでくる。
紫苑も交えて手近な机に腰を落ち着けると、雪合戦についての話題になった。


「なんで雪合戦なんです?」
「いや、うちのデビルたちが盛り上がっちゃってさ」
「面白そうやんか!やろやろー」







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