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「…………はあぁ」
総合広場の一室。
机に突っ伏して、透輝が盛大に溜め息を吐く。
その場に居合わせたアナザーが、何事かと透輝の方を振り向いた。
「透輝さん、どうしたんスか」
「あー……聞いてくれるかい……?」
額に紫の椿の紋章を持つ北のアナザー、透が問いかける。
ゾンビか何かのようにのそりと起き上がった透輝は、テーブルに肘をつけると口を開いた。
「……うちのアレスが、部屋に篭ったきり出てこないんだ」
「………は?」
「アレスって……透輝さんのウヴァル…ですよね?」
「いつも一緒にいるじゃないですか」
「そう!なのにさ、一昨日からなんか良く分かんないけど部屋に篭っちゃって」
言っている間にまた気が抜けたのか、再び机に突っ伏す。
溜め息製造機と化した透輝を、その場に居合わせたアナザーたちはやや気の毒そうに眺めた。
………そう。
今日は12月24日。
カップルたちがここぞとばかりにいちゃつきまくる日である。
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