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「さ、食べようか。冷めると美味しくないからね」

桜の香りがほんのりとついた紅茶をカップに注ぎながら透輝が促すと、リジーとランが最初にスコーンに手を伸ばした。

『うーん、透輝くんのお菓子久し振り〜!』
『相変わらず料理だけは上手いよな、マスターは』

次にアレスが。最後にミズとマリーが、遠慮がちにスコーンを手に取る。
遠慮なんてしなくて良いんだよ、と笑った透輝は、自分もスコーンを取るとジャムをたっぷり乗せた。

『……あれ?また焼いてるんですか?』
「あー、うん。ラウンジに持ってこうかと思ってさ」

イーラ様に差し上げたいし。
と続けようとした透輝は、その言葉をスコーンと共に飲み込んだ。
四方の魔女を快く思わないデビルは多い。透輝のデビルたちはその様なことは無いようだが、だからといってわざわざ言う必要も無いことだ。

一通りスコーンとお茶を満喫すると、透輝は新しく焼き上がったスコーンをタッパに詰め、桃ジャムの瓶と共に持った。
何時ものごついブーツではなく、シンプルなミュールを履いたところでアレスがふよふよと付いてきた。

「あれ、良いの?」
『はい。駄目ですか?』
「まさか。貴重なデレアレスを堪能するよ」

アレスにドアを開けてもらい、静かな廊下に出る。
小さなホールに設置された魔方陣に立つと、透輝は薄黄色の光に包まれた。











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