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「溜まったー!」

透輝が両手に持つのは、緑と紫のSS。
遂にポイントが溜まりきったその二つのSSを目の前に掲げ、彼女は高らかに叫んだ。

「出でよ!≪贄の眠り≫ラウム、≪灰燼の斬撃≫バアル!」

つむじ風が二つ巻き起こる。

顕れたのは、漆黒の髪を長く伸ばした女性と、青緑の髪を短く切り揃えた男性だった。
女性型のデビル――ラウムは、二、三度眼を瞬かせると、目の前に立つ透輝に思い切り飛び付いた。ゴシックなドレスがふわりと膨らむ。

「うぉう?」
『ああ、アナタ、ワタシのウンメイのヒト……!』
「あ、あの、ちょっと?」
『落ち着け、ラウム。主(あるじ)が困っている』

展開にまったくついていけていない透輝に、男性型のデビル――バアルが助け船を出す。
それを聞いたラウムは、透輝から離れると白いぬいぐるみをぎゅっと抱き締めた。

『さて。我らを呼び出したのならば契約するのが常よ』
「うん。知ってるよ」
『ワタシたちのナマエ、決めてくれたの?』
「当然。……さて」

透輝は真面目な顔になると、デビルたちに向き直った。

「ラウム……君の名前は≪アメジスト≫。バアル……君の名前は≪マラカイト≫だ。どうだい?」
『アメジスト……うん。コレ、今からワタシのナマエ』
『マラカイト……輝く宝石の名だな。たった今から、それが我を表す名だ』

デビルが名前を認めた瞬間、デビルたちの身体を薄い光が一瞬だけ包んだ。
それは契約が完了した証。
たった今この瞬間から、彼らは透輝だけのデビルとなる。

「んじゃ、よろしくね。ミズ、マリー」
『アメジストだから、ミズ?』
『マリーとは……如何にも女性名ではないか?』
「気にしない、気にしない!」
『透輝さんと一緒にいるなら、細かいこと気にしない方が良いです。腹が立ちますから』
「あっはは、アレスったら相変わらずきびしー」









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