【無口な兄が僕に初めてキスするまで】



第二話

2013/10/15 18:17

「もう聞きたくない!!!」
そういい僕は樹の部屋から出て行き自分の部屋にこもった。

「(突然なんだよ・・・・・・・何年間も喋らずに俺の事キライかと思えば……好き?意味わかんね・・・・・・・・・大体何で喋らなかったんだよ……辛かったのに‥……)」

そう心で思いながら一人膝を抱えながら今の状況を整理してると都の部屋のドアを叩く音がした。

(トントン)

「俺だけど・・・・・・・」
「・・・・・・・・。」
「都。急にごめんなそれと‥‥……今まで‥………ごめん。」

「なにがごめん‥……だよ‥‥…ぜってー許さねー!!」

「だよな。じゃーここからは俺の独り言として聞いててくれ・・・・・・。」
そう言った樹は都の部屋の前に座り込みながら独り言をしゃべりだした。

「俺はな…ある男の子に一目惚れしたんだ。
けどその男の子は今日から弟になることが決まっていたんだ。
それで俺はこの気持ちを抑える為に喋らないことにしたんだ‥‥……。
辛かったさ‥…「兄弟」としても「好きな人」としてもずっと「身近」にいるんだからな・・・・・・・
それにお前は諦めずに俺に話かけるお前の姿が痛々しくて……
我慢できずに告白だけしてダメだったらこの家を出るつもりだったんだ‥‥…
そしてお前には悪いが誕生日に俺は勇気を振り絞って告白したんだよ・・・・・・けじめをつける為に。
なんで20歳の誕生日今日なんだというのを聞きたいんだろ?
それは……お前が自立できるとしだからこの洗濯もお前にも任せられるだろうと思って俺と「兄弟」になるのか、「恋人」になるのか・・・・・・・・・・・まっ独り言だから気にするんな・・・・・・・・・」


そう言い残し樹は都の部屋の前から立ち去り自分の部屋へと帰っていった。
その話を聞いて都は樹が重大な決心をしてるのにそれにこたえられない自分を悔やんでいた。

「なんで・・・・・・・・(そんなの答えはもちろん・・・・・・・なのに何故だろう‥…樹兄ぃがいなくなるなんて……どうしてだろう?もちろん僕は『兄弟』を選ばないといけないはずなのに………何故こんな簡単な選択ができないんだろう‥‥…選べないんだろう……僕は樹の事なんか嫌いなはずなのに……………そっぽむくアイツなんか……………)あいつなんか・・・・・・・・・・」

都はそう悩みながらそのまま扉の前で寝てしまっていた……朝、都が起きると扉の前で寝たはずなのにベッドに移動して掛布団まで丁重に都の上にかけられていた。


次の日、都が起きると自分の眼から涙がこぼれたので慌てて涙を拭きとった。

「ん…グスッ‥…(なんで泣いてんだよ!俺!!こんなところ見られらたら……)」
都は焦りながら自分の目から流れる大粒の涙を拭いていると、都の部屋の扉を叩く音がした。

(トントン)

「おはよう。俺、昨日忘れてたんだけどお前にプレゼント渡すの忘れてたな……なんかいろいろあって私損ねたって感じだけだけど……ココに置いとくな」

そう言い樹は都の部屋の前にプレゼントを置き離れようとすると衝撃的な勢いのある扉の開く音と共に激しい追い風が樹の背中にぶつかった。

(バタッ!!!)

「待て!!」

そんな都が出した一言は震えながらも樹を何とか引き止めたい一心で心の底から溢れ出た今の都の精一杯の「気持ち」だった。

「どうしたんだ?」

樹は恥ずかしく都の方を向いて喋れず振り向くことが……出来なかった。

「あ……ありが‥…とう…プレゼント。昨日のケジメとかなんかよく分かんない独り言の
話は僕にはまだ早いかな‥……わかんないや・・・・・。
兄弟に急に「好き」って言われただけでビックリしてんだよ……家族なのに選べるはずないじゃんか……義兄とか言ったってもう10年以上暮らせば立派な「家族」なんだよ‥……それなら僕は「家族」を選択すればいいはずなのに‥‥……なんでだよ!チクショ!!何で俺は‥………選べないんだよ!!」
悔しがり床に蹲る都に手を差し伸べそっと抱きしめたのは紛れもない樹だった。
「都!そんなことを昨日ずっと考えてたのか?ありがとう……俺の独り言なんかに耳を貸して……都は優しいな」
そう優しく言いながら樹は都の頭を撫でた。

(クシャクシャ)

「あれは独り言なんかじゃ………あれは……」

都樹の言葉を否定するように小さくつぶやいた。




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