【無口な兄が僕に初めてキスするまで】



第一話

2013/10/15 18:06

今日僕に義理の兄ができた。

その兄はとても無口で僕と義理の兄弟になってから一言も喋ってくれない。

僕が喋りかけても兄はそっぽを向きその場から離れる……。


・・・・・・・・・・・きっと僕の事が気に食わないのだろう。

義理の兄弟なんて・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・そんなものなんだろう‥…。



結局は仲良くなんてできないんだ・・・・・・・・・・。



結局は・・・・・・・。



そう思いながら中学・高校と時は過ぎ僕は20歳を迎えた。

そんな僕の20歳の誕生日………。

 この日の兄はいつになくソワソワしていてなんだかいつもの兄のようではなかった。
ただ、無口なのは相変わらずだったので僕は気にしていなかった。

そして、無口な兄はいつもなら食卓でご飯を食べても、僕が話しかけようと努力しても、そっけなく僕の事を避け自分の部屋にこもるハズなのに‥……『この日だけは』違った……。

 兄は僕のブラウスの袖をガシッ!と掴み僕の事を強引に引っ張り兄の部屋に連れて行かれた。
 僕は樹が義兄としてここに来た時からこの部屋に入ったことが無かったのに初めて僕を自分の部屋に迎え入れてくれた。

 それだけでも・・・・・それだけでも・・・・・・僕としては嬉しくて涙が出そうだったのにこの日の兄はいつもの兄とは違いもっともっと変だった。

「お前……何すんだよ……なんか今日おかしいぞ……樹兄ぃ。」

すると、僕に兄は僕に背を向け呼吸を整え改めてこちらを向くと僕の肩を持ち僕に兄が僕に初めて言葉をしゃべった。





「‥…………好きだ。」




樹が僕の義兄になり僕の20歳の誕生日に初めて僕に喋った。

その言葉が僕への「好き」という気持ちを伝える大切な言葉だった。

兄の声を背中越しで初めて聞いた僕はなんだかほっとした気持ちと凄く特別な気持ちをあにからもらった。




だが、突然の告白に僕の頭の中は真っ白になった・・・・・・・・・。




そして、僕の脳裏には僕が初めて聞く兄が僕に言った初めての言葉、僕が聞いた兄の初めての声がいつまでも・・・・・いつまでも頭に染みついて離れることはなかった。

それはどんなに頭をくしゃくしゃに掻き毟っても剥がれることなく僕の頭の中に張り付いていた・・・・・・・・・。



「・・・・・・・・・都。お前が好きだ。」






そんな初めて聞く兄の声は今まで聞いたどんな声よりも綺麗で美しくとても残酷に僕の心をギュッと締め上げて僕のことを少しずつ苦しめていった・・・・・・・・。




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