その日、スティーブンの雷は落ちょうとして止まっていた。疲れていたからであり、そして何を言おうと無駄だと諦めたからでもあった。スティーブンの目の前ではザップがへらへらと笑って頭を下げている。
すんませんと言っているもののどう見ても謝罪しているようには見えない。反省しているかどうかするも怪しい姿であった。
そんなザップは何かとても幼い子供のような姿をしていた。そしてそれはスティーブンも変わらなかった。
ことの発端は数分前、へらへらと笑いながらライブラ来て、そしてクラウスに飛び掛かるでもレオに絡みに行くのどちらでもなくゆっくりと己の机に近付いてくるザップを見てスティーブンはあ、これはよくないぞと何が企んでいるぞと即座に見抜いたのだが、それはそうとしてタイミングが悪かった。
 四徹夜しているころで疲れがたまっていてまともに体が動なかったのだ。ザップがくる前に一仕事あばれてきていたのもよくなかった。
 覚悟と飛び掛かってきたサップを空中で固定することはできたが、彼が持ってきていた何かの液体をさけることができなかったのだ。
 そして冒頭に戻り、今は二人スティーブンの家に帰ってきていた。
 その姿では仕事はむりだろう。君は最近仕事をしすぎているし帰った方がいいとクラウスに追い出されてしまったのだ。その前にザップに小さくなった理由を聞いたところ、女と揉めて呪いをかけられたが解呪条件が誰か一人巻き添えにして一日過ごさないといけないという最低なものだったらしい。
くそって悪態をつきつつスティーブンは目の前のザップをにらんだ。
「で、お前は何を企んでいるんだ」
「オレちゃんもう何も企んでませんけど、スティーブンさん小さくさせられたんでもうこれ以上のことはしませんよ」
「じゃあ、何でわさわざ僕を選んだんだ。少年かツェッドあたりでよかっただろう」
 やたらとでかい気のする頭を抱えてスティーブンはため息をつく。六歳だか七歳ぐらいの姿らしいが、子供というのはこんなに丸かっただろうか。そんなとどうでもよいことを考えて逃避したくなりながらザップを睨む。
 ザップは子供の姿なんで全然こわくないすって。なんて言ってさらに笑顔を浮かべさせていた。
「いいじゃねぇすっか。 
 あんたさいきんずっと忙しそうで構ってくれないし」
 はあってスティーブンの口か開いていた。ザップは口元を尖らせている。実に子供らしい顔だ
「一日一緒にいるならレオよりあんたの方が良かったんですよ······あんただって働きすぎで休んだ方が良いと思ったし、旦那が全然俺のことをおこんなかったのあんを休ませたかったからじゃないですか」
 ぷりぷりと頬をふくらませてザップがスティーブンを睨んでいた。はぁ、何て声がスティーブンから出て、その体が凍りつく。
はぁ、何てまた声が出ててスティーブンはザップを見ていた。ぐずのくせかわいいと浮かぶ言葉。ぐっと奥歯をかみしめて口にするのはこらえつつも怒りが消えていてしまった。
「……今日はゆっくりしようか」
「いえーい。セックスしましょうよ」
「ああ」
 今度でた声は怒りと呆れだった。
 せっかく霧散したのを何で一瞬で蘇らせるのか理解不能であると思いつつもさらに理解不能の男を見る
「セックスできる時間できたしやるしょ。ずって番頭としたいの我慢してたんですよ」
「……」
  誰がやるか、見た目考えろ。もう少ししたらごはんとか作りにギルベルドさんや、レオも来るんだぞ。 
 つうか、こっちが忙しくしている間も散々女とセックスしていただろうが。
 そんなわきあがる言葉を口にするのも面倒になってスティーブンはザップの足を凍らせ、そして布団の上にダイブしていた。腕の中にザップを巻き込んで布団の中ただ横になる。
「起こしたら殺す」
考えるのをやめてスティーブンは目を閉じた

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