文スト、血界、幽白のクロスオーバーです。福太、ステザプ、幽蔵ですが、今の所受けは出てきません。攻めが出会うまでの話
舞台は日本で何故かステザプはHLからでてきてます。福沢さんは今の回終了後を妄想、色々な責任を取る形で探偵社やめてます。幽助君は屋台引いてます

ここまでの設定が大丈夫な方だけお進みください



「何か悩み事でもあるのか」
 深夜、公園のわきでやっているラーメン屋台は知る人ぞ知る隠れた名店と言われその近くに住む人々がよく利用していた。ラーメンの味はもちろんとして豪快だが愛想のよい店主でよく悩みを聞いてくれるのだとか大抵アドバイスにもなっていないような頓珍漢な答えだったりするが、それで何だかどうでもよくなったり、逆に勇気が出たり、極たまにだがはっとするようなこれだと言うようなアドバイスもあって店主の人柄にほれ込んで通うものも多かった。そんな店主だから知り合いも多いのだろう。週に何度も知り合いらしきものが来て店主もともに飲んで騒いでる。ごくまれにだが大人数で来ては彼らの貸し切りみたいになることもあった。
 そんなラーメン屋台の店主は今日もまた一人の悩める男に声をかけて居たのだった。
「……私か」
「そうそう。あんた、さっきからずっとなんか難しい顔してるからさ。暗いってわけじゃねえけどなんかでも悩んでんのかなって顔してるぜ」
 声をかけられた男は一回二回周りを見渡して店主に聞いた。店主はどうしたんだよと明るく笑う。ラーメン食べている間なら聞いてやるぜなんてそんなことを言う。男の目元には深い皴が初めからできており、それが一つ増えていた。
「そんなに悩んでいるつもりはなかったんだが、顔に出ていたか」
 ふうと男から一つ出ていくため息。男は銀色の髪をした何処となく近づきがたいオーラのある男だったが店主はそんなことお構いなしに話したら少しは楽になるだろうしさと話しかけていた。
 サービスと言って男のグラスに酒を注いでいく。恐らく男が頼んでいた分も含むとろくはいめぐらいにはなるだろう。いける口だろうと一応確認しておくのに男は静かに頷いていた。一口飲んでからそうだなと口を開く。
「悩みと言えるほどでもないのだがこの先どうするか考えていてな」
「この先ってなんか大変なのか」
「いや、そうではない。大変だったのは今まででそれが終わってしまったのだ。まあ、簡単に言うと会社を辞めてしまったんだ。
 隠居してもいいのだろうが、まだそれもちっと早い気がする。私がやれることはすべてやりきってもうないのだが、でも年齢的にはまだまだ現役だ。四十後半。家にこもって日がな一日日向ぼっこして過ごすには若すぎるだろ。これを機に新しいことを初めそれを仕事にしてみようかと思っても、この年になるまで一つのことだけに生きてきたから、今更他にしたいことなど何も思い浮かばぬ。
 さてどうしようかと、な」
 ふうと男から吐息が出る。でたぶん酒を飲んで男はつまらぬ話を聞かせてしまったなと店主に謝っていた。店主はそんなことないぜってすぐさま首を振り、そんじゃあ料理でも始めたらどうだなんて言っていた。
「単調に見えて奥が深いし、生活の中でやってくことだから何か始めるにはぴったりだとおもうぜ。俺も何していいか分かんない時に、取り合えずなんか手軽にできそうなところからやってみかって料理ちょっと凝ってみるようになったらすっかりはまってラーメン屋台引くようになったしさ
 まあ、別に料理じゃなくていいけど、普段の中に転がってる手軽なところからやってみてやりたい事とか見つけりゃあいいんじゃないか」
「……なるほどな。料理はそこそこ好きなのだがな……」
「まじで、あ、じゃあ、俺の屋台でバイトしてみねえ。丁度人手が欲しいって思ってたつうか、常連さんとかに屋台やる日もう少し増やしてほしいって言われてたから俺がいなくても屋台引ける人欲しかったんだよな」
「有難いが、そうなるためにはまずはこの味を完全に再現できるようにならねばな」
「そこは俺がみっちり鍛えてやるから大丈夫。うっし、早速手順教えるからちょっと見ててくれよ。今丁度人いないしな」
 とんとん拍子に会話が進んで店主は誰の分にするのか分からない麺を一つ手にしていた。まずはと言いながらお湯の中に面を入れようとしたとき、待てと男が鋭い声を上げていた。あっと店主が男を見ようとして、険しい眼差しに変わる。
「店主、悪いが少し席を外させてもらう」
「いや、俺も行くぜ」
 火花がはぜるように緊迫とした空気が二人の間を満たした。同じ方向を睨んで二人はほぼ同時に駆け出していた。
 闇夜をかける二人、
 その二人がたどり着いた場所は公園から近い場所にある路地の裏手であった。何かが壊れるような音が立て続けに聞こえている。覗き込むと武装した者たちが大勢で何かを追っていた。追われているのは一人だなと男が口にし、店主が頷いていた。
「どうすんだ。助けるのか」
「事情が分からぬ中で手を出すのは危険だが、ここは周囲を人が通ることも多い。こんな場所で暴れられていては周りに危害が出てもおかしくないからな」
「追われている方に加勢でいいんだよな」
「……そうだな。そっちは銃も使っていないようだし、一旦はそちらに加勢しよう」
二人はほぼ同時に飛び出していた。いきなり現れた二人に武装していた者たちは驚き、迷い攻撃の手を弱める。そこをすかさずついて二人は何人もいた相手をなぎ倒していた。
 退避だと叫んで何者かは逃げ去っていく。おいと店主は追いかけようとしたが、深追いをするなと男が声をかけていた。
「現状も分からないのに追いかけて本拠地にでも紛れ込んでしまえばこちらが不利だ。逃げるのであれば逃がしておこう」
「……わかった。
 それよりあんた大丈夫か」
 男の言葉に頷いた後、店主は路地裏の建物の陰隠れていた一人の人に声をかけていた。襲われていた相手だ。多少の怪我はしているようだが、大怪我は見えなかった。黒髪の男だろう相手はじっと二人を見てからああと頷いていた。
「俺は大丈夫だ。それよりあんたらは」
「俺たちそこのラーメン屋の店主と店員。
 見た感じケガもそんな酷くなさそうだしラーメン食べてけよ。ついでに手当てもしてやるからさ」
 ぽっかんと男の口が開いていた


「へい、いっちょお待ち。冷めないうちに食べてくれよ」
 たんと黒いスーツを着た男の前に幽助特製のラーメンが置かれる。幽助なりの気遣いで麺増し増しチャーシュー増し増しの特性ラーメンである。男は口元を引きつらせつつそれでもありがとうと言って受け取っていた。
 箸を手にして一口食べる。男の目が少しだけ見開いていた。
「へえ、なかなかうまいね」
「だろう」
 男の声は感心したもので幽助はふふんと鼻を鳴らした。なぜか厨房に立っている銀髪の男はどうしていいものかと腕を組んで所在無さげであった
「で、どうして襲われてたんだ」
ある程度男が食べたところで、もう聞く気がないのかと思っていたことを幽助が問いかけていた。首を傾けて男を見るが、男は僅かに箸を止めるような姿を見せながらもすぐにさあと首を傾けている。
「急に襲われたので俺にもどうしてかは分からないんです」
「へええ。そりゃあ災難だったな。怪我とかなくてよかったぜ」
 男の言葉を素直に信じて幽助は同情の目を向けたけど、その奥では銀髪の男が疑いの眼差しでラーメンをすする男を見ている。綺麗な所作で食べる男の赤い目がそれでと銀髪の男を見た。
「そちらのお方は……。店員という話でしたが、何をしている様子もなかったのですが」
「ああ、この人はさっき雇ったばかりの新人でさ。よく分かんねえけど新しい始めるのに何がいいか探してるみたいだったから人でも欲しかったし丁度いいやって」
「へえ」
「あ、そういやまだ名前聞いてなかったよな」
 己のことを聞かれたのに銀髪の男は眉を寄せていた。目元がますます険しくなるが幽助は気付いておらず、男の目が幽助と男の二人を交互に見た。暫くしてから私はと口を開こうとしたがその前に男の言葉に遮られていた。
 男は丁度いいと言って幽助を見る。
「それなら僕も雇ってもらえないだろうか」
「え」
 目が点になる幽助、奥にいる銀髪の男も驚いている。にこやかに笑えているのは男だけだ。
「実は僕もいま就職先を探していてね、でもあんな奴らに襲われた後だった。お二人がいる子の店なら安心して働けるし、人手が足りてないならぜひお願いします」
裏表のなさげなさわやかな笑顔で男が頼む。そうはいってもと幽助は頬を掻いたがまあ、いいかとそんなに考えることなく言っていた。
「給料とかちょっと心配だけど、人手が増えたらその分俺が自由に出かけられる時間も増えるもんな。二人とも俺が雇ってやるよ。
 て訳で名前教えてもらっていい。あ、ちなみに俺は浦飯幽助」

「ああ、僕はスティーブン・A・スターフェイズだ」
「福沢諭吉だ」
 スーツの男の名前に幽助は固まった。あんぐりと口を開けて硬直した彼の姿を見て、自分も驚きながらこれ以上は遮られたくないと銀髪の男は素早く自らの名前を口にした。
 その数秒後、幽助の絶叫が夜道に響いた。






「もしもしザップか。どうだそっちの首尾は?
 え? ああ、すまないな。急なことで連絡ができなくて、まあこちらは大丈夫だよ。それよりお前は予定通りそこに潜入して様子を探ってくれ。情報通りならそこに奴が現れるはずだ。
 わざわざ僕がHLを抜けてここまで来たんだ。その意味わかるよな。へまするなよ
 そうだな。まあ、すまない。それに関しては僕のへまだ。だけど安心してくれ。ちゃんと次の潜入場所を見つけたから。え、ラーメン屋台だよ。
 失礼な。ちゃんとした仕事だ。おいおい食べる側じゃなくて作る側だぞ。気になる奴がいるんだよ
 あのな、ラーメン屋台なんかにそんな姉ちゃんいると思うか。そうじゃなくて男。馬鹿言うな僕だってお前以外は女が良い。そうじゃなくて軍人なんだよ。まあ、元だがな。
 でも身のこなしを見るについ最近辞めたかそうでなくても軍に近いところで働いていた筈だ。何の酔狂でラーメン屋台なんかで働きだしたのかは店主の説明聞いただけだと分からないが、軍人の働く屋台なんて色んな奴がごろごろ来そうじゃないか。立ち入った話を聞くことはできなかったが、僕が見るにあれはそれなりに高い地位にいたと思うしね、そんな情報が集まりそうなところを見つけたんだ。潜入先には充分だろう。
 店主の方も若いが……何かしらありそうな気もしたしな。
 また何かあったら連絡する。それまでちゃんと仕事をしてろよ。何だ妬いてるのか。
 ああ、じゃあ。がんばれよ」


[ 27/32 ]

[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]



×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -