僕はやっぱり普通の人にはなれないみたいだ。    
   僕に背を向けるボルトを見詰めてそう思うしかなかった。ボルトが傷ついてるのは分かるのに僕はそんなボルトにどう声をかければいいのなわからないんだ。ボルトがどうして傷付いてるのかさえも僕には理解できなくて……。
   ねえ? ボルト。どうして?僕はどうしたら良かったの?    
   数日前僕は浚われた。僕の出生は秘密にされ厳重に管理されているはずなのだが、どこから漏れたのか数日前に父さんに恨みを持つ人達に襲われた。多勢に無勢、争うだけ無駄だと判断した僕は蛇を残して自ら浚われることに。薬や拷問に対する対抗は父さんに散々仕込まれていたから別に少し捕まるぐらいなら大丈夫だて判断したんだ。どうせすぐにボルトたちが助けに来てくれるって。 
  その思い通りボルトたちはすぐに助けに来てくれた。僕が捕まってたのなんて二日もなかった。多少の暴力は受けたけどまあ、こんなものなのかなって。それより僕はボルトたちが助けに来てくれたことの方が嬉しくてどうでも良かったんだ。
   だけどその事でボルトは傷付いてしまった。
   助けられたあと気絶してしまった僕が目を覚まし最初に見たのはボルトの泣き顔だった。きっと目覚めるまでそばにいてくれたのだろう。目の下には酷い隈をつくり、だけどそんな隈すら目立ったなくなるほど目も目の下も赤く張らして泣いていた。泣きながら抱き締めてきたボルトは何度も何度もごめんねを繰り返した。痛いほどの力、掠れた声で繰り返されるごめんね。
   僕はそれがどうしてなのか分からなかった。
   だってボルトは僕を助けてくれたから。
   ボルトが泣いているのが嫌で何とか慰めたいのにどうしていいのかもわからず兎に角大丈夫を繰り返した。大丈夫だよ。大丈夫。心配しないで。そんなに痛くなかったよ。怪我なら任務でよくするしね。助けに来てくれて嬉しかったんだよ。本当に気にするようなことはなにもなかったんだよ。
   ボルトを慰めようと必死に言葉を紡いだのに何故か紡ぐたびにボルトはより悲しい顔をして最後には愕然とした表情で僕を見た。よく僕が知らないものをボルトに聞くたびに見せる表情に似ていながらも比べ物にならないほど色をなくした酷い顔だった。
  何でってボルトが言う。僕はボルトが何を聞いているのか分からなかった。だから笑う。心配しないでちょっと怪我しちゃったけどすぐ動けるように

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