「花見がしたい? お前がそう言うことを言うのは珍しいな。またお弁当が
食べたいのか?」
ことりと太宰の言葉に首をかたむけた福沢が言う。それにゲッと顔をゆがめるのはごろごろ本を読んでいた乱歩と酒を飲んでいた与謝野の二人であった。
以前弁当を持っていた花見ではその中身の大半が太宰の好物。二人の好きなの物は申し訳程度に添えられているだけであった。そのことを良く覚えている二人は警戒して、すでに中身を考えていそうな福沢を睨んでいた。
肝心の太宰はと言えばそんな福況をみていえ、違いますけどと首を振っていた。ただしお弁当は食べたいですと2人の期待は踏みにじっっている。
「そうなのか。では何攻」
「今日私が会いに行っていた人、前世話になったので社長の家を知ってらしたのですが、きれいな桜が咲いているからこの時期は家で花見ができて羨ましいと言うようなことを言われたのです。
桜が好きだから埋めたいけど妻が桜は花びらが沢山散って掃除が大変だからと許してくれないのだとか、そうは言ってもこの家にすんでいるのは私を含めて花より団子、というか酒じゃないですか。
花見などしたこともないと思ったのですけどもったいないかなと思いまして、どうせならしてみようかなって思ったのです」
話を聞いていた全員が頷いていた。みえないものの襖の向こうの庭を見てしまう。太宰の言う通りこの家には花を鑑賞するような雅な趣味のものはいないのでその存在を含めて忘れているようなものであった。
庭には猫を見るため福沢がよくいくが、猫だけみているため話にもならない。
「……今度の休みにでも花見するか」
「はい」
自分の意思が通って太宰が嬉しそうにする。
どうせことわられるとも思っていない癖にと冷めた目で乱歩と与謝野がみていた。



それから数日後福沢の家では四人が庭にシートをひろげ、桜をみていた。最初だけ、今はもら酒をのんではつまみを食べているような状況だ。
福沢の膝の上その胸に顔を乗せながら太宰ははぁと吐息をはいた。
「やっぱ。このメンバーで花見って無意味ですよね」
「何あたり前のこと言ってるの」
「酒のめるからいいじゃないか」
「この酒もうまいが、飲むか」
 酒と駄菓子がどんどん消費されていく


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