「何か最近、変何ですよね」
「何がだ」
「変?」
「はい。前まではあんまり力を使えなかったというか、気付いたら周りがめちゃくちゃになっていたんですけど、最近普通にしていても力を使えているなって時があるんです。
すっごく重いものたくさん持てたりして。こないだ試しに車を持ってみたんですか、凄く軽かったんです」
んーと首を捻っていた賢治は最後だけうきうきとした目をしていた。凄いと純粋に語る質治に引き気味になりながらも、話を聞いていた国木田や谷崎は首を傾けている。
「力をうまく使えるようになったと言うことか。いいことではあるがいきなりだと気になりもするな。 異能力の制御は体の成長とは関係ないというし、何が理由なのか」
「賢治君はここにくるまでは異能力のこと知らなかったんですよね。 それが原因ってことは」
「力を認識したからということか有り得そうだが、おい、太宰、貴様は何か分かるようなことないか」
「ん〜〜」
やる気なくソファーの上で寝転がっていた太宰が呼ばれて少し顔を上げていたた。ごろりと体勢をかえてそっぽを向く。
ふわりとあくびがでていた。
「何で私にきくの〜〜」
「お前さっきみていただろう、何かあるんじゃないか」
あくびが止まり、太宰の目が国木田を見、賢治をみた。ふっとと吐息がでていた。
「何もないのだけどね。
賢治君、それって力を使える時に規則性みたいなものあるかい」
「規則制ですか····う〜〜ん、よく分からないんですか。あ、でもお腹すいてるなって時が多いです」
「そう、じゃあ今日は夜ご飯を食べないでお腹すかせて何か重いものを二十分おきぐらいで持ってくれる。明日の朝もできればお腹すかせてきてほしいな」
「? 分かりました」
「太宰、何するつもりだ」
「ちょっとね」
賢治が素直に領く横で国木田は訝しげに眉を寄せていた。まだ何かと警戒される中で太宰はそふぁの上、その目をわずかに細めていた。
ぐっと曲がった口元が誰かに見えることはなかった。




「性行為をしたい。明日は仕事だぞ」
「分かっておりますが、お願いします。今日でなければならないのです」
太宰は三つ指をつき、福沢に願っていた。上司であり恋人でもある福沢との性行為は休みの日の前日だけと決まっている。それは受けみである太宰へ負担をかけたくないという福沢の優しさゆえであったが、今太宰は分かりつつもどうしてもと縋る。
その目の奥にはわずかな痛みのようなものが見え隠れしており見付めていた福沢から吐息がでていく。
「分かった。だか一度だけだ」
ほうと本宰が安堵し微笑む。それはどこか優げで福沢が思わず名前を呼ぶがふり返る太宰はにっこりと笑むのでそれ以上をきくことはできなかった。
手を握りしめて太宰を見た。嫌なことがおこるとそう感じた。



「それで賢治君どうだった」
「はい、途中までは重いものを持てたんですが、途中からはまったく持てなくなりました。朝は少しそこのソファでためしましたが持ってました」
「そう。持てなくなったのは八時半ごろからだね」
「すごい。何で分かったんです」
賢治が驚き目を丸くしていく。周りは太宰の考えが読めず不思議そうにしている中で、太宰はその中で一番昨日の会話を知らず戸惑っている福沢に近付いていた。そしてその手を握りしめている。
何をと国木田が反応するが太宰の目は賢治を映していた。
「じゃあ、もう一回ソファ持ってみてくれるかい」
賢治の目か瞬く。他の者を驚いていた。朝確かに持ち上げられていたソファが今は動く気配もない。力をこめるがうんともすんとも言わない。
太宰がなるほどねと呟いて福沢から手を離していた。
突端に持ちあがるソファ。勢いがつき過ぎて賢治が転がるうわぁと声をあげ倒れなら、賢治の目は白黒していた
つまりと太宰が言う。
「社長は異能力者だったってことだね。おそらく人の異能を制御するもの。触れる度、異能が発動する感覚があったからおかしいとは思っていたんですよ……。
 こう言う異能ならば今まで分からなかったのも納得です」
どうです。異能力者だった感想はと太宰がとう。答えられるはずもなかった。福沢に分かるのは今目の前にいる太宰が悲しんでいることだけだ。
どうすればと悩む中、あれと声をあけたのは賢治だ。



「でも昨日、途中で気付いたんですか。
夕飯を食べる前も六時ぐらいから使えなくなることよくあるんで
すけど」


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