ある晩、福沢と太宰、乱歩と与謝野の四人は夜の街を歩いていた。探偵社の仕事が遅く終わった夜、みんな疲れていてその足は家に帰る前に腹拵えして帰ろうと何処かの店を探している。
「乱歩、与謝野、お前たちなにか食べたいものはあるか」
 街の中ある店を一つ一つ見ていきながら福沢が乱歩と与謝野の二人に聞いた。はいってこえが二人から出てその足が止まっていた。えっという声も太宰の方から出ている。3人の目が瞬きさて福沢を見つめる。
 えーーと出ていく引いた声。風邪でも引いたのかいって与謝野が聞いていた。

「何がだ」
「いや、社長が私や乱歩さんに聞くなんて。こういうときはいつも太宰の意見優先だろう」
「私も私に聞かれるものだとばかり……、どうしました」
 二人の目が福沢を見る。困惑した眼差し太宰は少し悲しげにまゆを寄せている。乱歩はというと何かを推理してしまったのだろう。口を抑えて今にもゲロを吐き出しそうだった。
 そんな三人を見て福沢の足が止まる。その頬はわずかに赤くなった。そしていやそれは……と音を紡ぐ。
「だって太宰は私のご飯でなければ特にこだわりなどないだろう。だからこんな時ぐらいはお前たちから聞いてやってもいいかなと思ってな」
 赤くなったまま紡いだ言葉。
 しばし無言がおちた。乱歩がうえってだしはしないものの吐いている与謝野も口元を抑えて引いた眼差しで福沢を見ている。喜んでいるのは何時も通り太宰だけだ。
「あ……そんな。、たしかに私は社長のご飯じゃないなら今日ももうなんでもいいのですけど……。明日のご飯はカニの炊き込みご飯がいいです。
 今日はどこ行きます」
 頬を赤らめて体をくねらせた太宰が福沢に近づいていく。外なので抱きついたりはしないがかなり近い。そんな二人を見つめてしまったあと与謝野と乱歩は口を開いた
「ファミレス」
「バー」
「よし。バーだな、うまいバーがどこにあるか知ってるか」
「この辺に行きたい店があるんだよね」
「ちょっと明日も仕事なんだけど疲れたんだろう飲まないからな」
 ぎゃあぎゃあと乱歩がわめき出す。それを歩いていく福沢と与謝野を見てあって太宰からは声が落ちていた。やり過ぎだなって呟きながら彼はでもあれは社長が悪いよなと諦めて二人の後を追いかけていた。その後を追いかけだす乱歩はまだ喚いている

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